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戸隠 西岳

長野県北部(北信地方)では、善光寺平を見おろすように聳えている妙高、黒姫、飯綱、斑尾それに戸隠の山々を北信五岳と呼んでいる。いずれも子どもの頃から、見慣れた山々で、斑尾を除いては、登った山だ。

その中でも、南北10km余りにわたり、標高2000m前後で他の山々とは少し形状を異にする、峻険な鋸歯状の山稜を連ねる戸隠連峰。
戸隠連峰を形成する山々は、一番北にあり裏山にあたる最高峰の高妻山、乙妻山。表山の五地蔵山、九頭竜、戸隠山そして八方睨。南に位置する西岳は、水晶のような角柱形をした本院岳、最高峰の西岳、第一峰、第二峰、第三峰と徐々に低くなっていく。その端っこには、鬼無里伝説の一夜山がポコッと見える。

戸隠の山々は、何回も登ったことがある。しかし、西岳へは足を踏み入れてない。危険だからだ。西岳は一般向きの山ではないのだ。

戸隠の山々は西岳だけでなく、表山も危険がいっぱいだ。何故かと言えば、稜線の東、南側はすべて断崖絶壁で、普通山での事故は転落や滑落となるが、戸隠では墜落になる。
過去にも、数人で縦走中に休憩したら1人居なくなっていて、捜索したら墜落していたという事故があった。
標高の割りに、極めて危険性の高い山なのだ。

そんな訳で、いつも眺めている山になってしまった西岳だ。
この春に行った時に、スケッチしたままになっていたので、暑くなって何もする気がしなかったが、それではいけないと、涼しかった戸隠を思い出しながら、本院岳と西岳を描いた。
雪解けもひと段落して、残雪が谷筋に少しあるだけになり、荒々しい岩肌を見せるようになってきた頃だ。冬季は冬季で、断崖絶壁が多い分、雪が付かず、岩肌と雪の白さが織り成すコントラストによって、壮絶さを見せる。

西岳の方が標高が高いのだが、本院岳の特徴ある形を描いていたら、そっちの方が高い山のように描きあがってしまった。

危険な山だけれど、機会があれば登ってみたい山でもある。いい年になって、そんなことを考えるなんて・・・と、ちょっと自分でもあきれる。でも、そんな魅力的な山だ。

 Togakushi_Mountain range.2013 4 Aug.

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