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早春の戸隠

Togakushi of early spring in May 2010.. 2010 Jun..

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天候不順の続いていたこの春先だったが、4月から5月にかけての連休は珍しく全国的に良い天候に恵まれた。
ここしばらく春の連休とか夏休みなど、人出が多い時期にわざわざ出かけることがなかったが、今年は久しぶりに連休に挑戦してみた。と言うより、仕事の関係でそうした時期に出かけられなかっただけなのだが・・・。

春の嵐のような天気で、明け方まで降っていた雨も上がり始めたが、低い曇がり立ち込めた空で、いつでも雨粒が落ちてきそうだったが信州に向かった。
信州の連休は、飯綱小屋に到着直前ににわか雨にザッと降られたが、すぐに回復良い天気が続いた。

5月1日の早朝、戸隠へ鳥見に出かけたが、いつものことでその行き帰りに、私が勝手に呼んでいる「アルプス展望台」に寄ってみた。天気が良い早朝は、北アルプスの北部から南部まで見渡せる絶景ポイントなのだ。
ここは、運がよければ野鳥もそこそこにみられる場所で、早朝は人影も無く好きな場所だ。最近は車の乗り入れを禁止したので、さらに良い場所になった。

この時期、早朝は0℃くらいまで下がり、下手をすると雪だって降る季節だ。それに今年は季節が遅れていて、飯綱小屋辺りがやっと雪解けが終わったところで、森林植物園辺りまで行くと木道以外は雪で覆われ、水辺の雪が融けたあたりにやっとミズバショウが顔を出し始めたところだった。

この「アルプス展望台」は、段々畑の蕎麦畑なのだが、早春は真っ黄色の菜の花が一面に咲き、辺りの雑木林が芽吹き始め、バックにはまだ所どころに残雪を白く見せる高妻山の光景がすばらしい。
でも、まだ雪解け後間もないこの時期は、やっと畑に新芽が枯れ草の間から出始め、黄緑色と枯れ色が交じり合ったり、地面の露出した土が見えていた。

畑の周囲の雑木林も、新芽、新緑の葉っぱはほど遠いといった感じの枯れ色に、白樺が混じって白とのコントラストを見せていた。戸隠山は急峻な岩場で出来たような山なので、雪の付きが悪く真冬でも岩肌が沢山見える山で、2月末から3月にかけて、少し気温が上がると良く雪が落ちる大きな音を耳にすることがあるが、この時期はほとんどの雪は落ちて黒々していた。
ただ、さらに奥に聳える標高2352mの高妻山は、ほぼ三角形に見える部分が真っ白に見えていた。やはり、山の形状の違いで雪解けも異なるようだ。

以前、この時期の戸隠山の八方睨みへ登ったが、今年は奥社の裏手から五十間、百間長屋辺りまでの道中は雪が多くて大変なアルバイトになるだろう。

連休から一ヵ月半ぶりに行って見たら、この段々畑は既に菜の花は終わって、昨年の6月初旬に真っ黄色な菜の花を見せてくれた畑だったが今年は見れなかった。もう耕され、次の蕎麦の種が蒔かれたようだった。

ほんの一ヵ月半などと人間は悠長なことを言っているが、自然界は着実に歩を進めていた。高原と言う場所で、限られた季節を、一年単位で繰り返される営みは短い。
あと一ヶ月もすれば、夏蕎麦の白い花が咲き乱れ、やがて黒い蕎麦の実り、刈り取られると秋蕎麦の時期となる。それも刈り取られると、間もなく冬の訪れだ。

また、雪の下でじっと耐える五ヶ月間。そして、また新しい春を迎える。
雪深い地方では、いつも待ち遠しい早春。人も動植物も待っている、春を・・・

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