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   Shape of mountain..  2008 Jun

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山の形。 一夜山

山の形は、同じ山でも見る方向によっても違った形で見えるし、その日、その時々の見ている気分によってもいろいろな形に見えることがある。

私のように山国に生まれそこで育つと、毎日見ている山の形は、ほぼ覚えていて、何十年も経った今でもその形を覚えている。
でも、山の形と名前が結びついているのは少ないようだ。山の名前は、形からよりも伝説やそこにできる雪形などからで、形そのものから名づけられた山はあまり聞いたことがない。

【鳥瞰的に見る一夜山は餃子を立てたような形に見える。】

一夜山。この山は以前からよく見ていた山で、山々の合間にポツンとポッコリした形で見えていた。一夜山という名前も特に気にしていた覚えも無く、一夜で出来た山だという伝説の話を聞いたくらいだった。でも、よく行く戸隠からは毎回見える山で、一度登ってみたい山の一つだった。

それが、急に気になり始めたのは、この3月に行った戸隠スキー場の瑪瑙山から見た一夜山だ。普段は山登りをしていても頂上からのパノラマを見て、ああ良い景色だくらいにしか見ていないけれど、その時の一夜山はちょうど鳥瞰図的見えたので少し違って見えた。どう違っているか?

周囲が山だらけの、その合い間に立つ独立峰。独立峰というほど凄くはないけれど、でも存在感がある。バックには北アルプスの高峰が、脇からは荒々しい戸隠西岳連峰の岩峰が連なり、そうした対象物の中にあり個人まりとした、やさしい感じの形であるからなのだろうか。

見る方向によって違うが、いつも見ているバードラインからは餃子を立てて、それを斜め横から見るので変形半円のような形で、瑪瑙山からは鳥瞰図的に見え、餃子を立てたところを縦から見たような形だ。

登ってみると、この餃子を引き合いに出して形を説明していることが実感出来る。最初は、餃子の横腹をジグザグに登り、やがて餃子の皮を閉じ合わせた部分に当たる尾根に出る。その尾根を登っていくと鍋底をひっくり返したような頂上に着く。
こんな具合に、山の形は何かを引き合いにして話したりできる。

また、山の形で表裏で全く同じ山とは思えない形のもある。この一夜山へ登ったときに見た、お馴染みの飯縄山だ。

以前「飯縄山の形成について」書いたように、見慣れている長野市内からは台形のような屋根型で比較的整った形だったが、裏側から見ると、複雑な形成活動を経てその度に出来た瑪瑙山、怪無山など飯縄山形成期の痕跡を物語る形が見えた。裏側からも見る機会は多々あったはずだが、近すぎて部分的にしか見ていなかったようで、一夜山から遠目で見ると違った山のような形だった。

山の形は、さまざまで、見る方向、四季の変化、そして我々の気持ちでいろいろに見えるようだ。

【西側から見た飯縄山(裏側から)と    長野市内から見た飯縄山(表側)】

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