【帰る日、梅雨が明けたかのようなカンカン照りの真夏日になった。千曲川の対岸からの飯縄山。】

このお宅で見つけたのが、タマアジサイだった。もう彼此30年くらい前になるが、友人の軽井沢の別荘へ行った時に、まだ開かぬタマアジサイの花を見つけて、どんな花が咲くのか・・・それ以来の花だった。
この戸隠でも、まだ丸い蕾で開花は、お盆頃だろう、ということだった。開花が待ち遠しい。
そして、そのタマアジサイの苗をいただいてきたので、我が家の森に植えた。
前回は、クリンソウを植えたし、今回はタマアジサイを・・・来年か再来年か、何時の日か花を咲かせてくれると思うと、楽しみだ。
【タマアジサイ(ユキノシタ科):山地の谷間や沢沿いの斜面に自生するアジサイ属の植物で、名前は、開花前の蕾がしっかりした苞(ほう・苞葉)に包まれ、大きなまん丸い形になることから来ているらしい。また、葉の縁の細かい鋸歯によって、花のない時期でも容易に見分けられる。開花は、球形の花序が見えだしてから、1ヶ月くらい要するらしい。】

昼が近づいてきたので、そばを食べに行くことにした。毎回飯綱へ来るとそばを食べに行くが、今回は大久保の茶屋へ向かった。

宝光社や中社でも、美味しいそばの店はあるけれど、最近のそばは洗練され過ぎ?ていて、各店がそれほど違いを感じられない。

以前の戸隠そばは、太くてぷつぷつ切れるようなそばで美味しかった。私は、田舎者だからそうしたそばが、戸隠そばという、すりこみがあるようで、けっこう大久保の茶屋へ行く。

この日は寒かったので、温かいそばにして、山菜の天ぷら、岩魚の塩焼きをいただいた。美味かった。

我が家の小屋から大久保の茶屋へは、信濃路自然遊歩道を歩いていけば20〜30分もあれば行ける場所だ。直線では1kmもない場所なのだ。

そんなこんなしていると、パタパタ ブンブン と音がする。見上げるとエナガ、シジュウカラ、ゴジュウカラが混じって近くの木に飛んで来て、忙しなく枝から枝へ動き回っていた。この集団の小鳥達はおとなしくジッとしていない。双眼鏡で見るが姿を確認するとすぐに他の枝へ移ってしまった。
被写体になってくれたのは、木の幹を上がり下がりしていたゴジュウカラだけだ。今の時期は葉っぱも沢山茂っていて、小鳥の姿を見つけるのは難しいが、こんな風に集団で来てくれると、何羽かは写真に収まってくれる。

【木を締め上げている太い蔓。木も変形してきた。自然の力、驚異を感じる】

長野市街地から飯縄山を見上げたが、やはりガスの中だった。視線を右に移していくと長野市の北になだらかな、丸みを見せる三登山が、真っ青な夏空と湧き立つ夏雲の下にどっしりとあった。

そして、市街地を走りぬけ、犀川、千曲川を渡り実家へ向かった。お盆には来れないので、お墓参りをして親の顔を見てから帰ろうと。

帰りには、母親がジャガイモ、タマネギ、ナガネギ、キュウリ、トマト、エダマメなど採りたて野菜を持って行けというので、満載してきた。

親は、いつも子どもに何でもあげたいと思っているようで、ありがたいことだ。そして、故郷があるって、ありがたいことだと思う。

さてさて、今回は雨の飯綱だったが、もう帰る日が来てしまった。片付けをして小屋を出て、いつもの大谷地湿原に寄ってみると、飯縄山はガスの中で全く姿は見えない。

湿原の入り口の梢では、ホオジロが元気に囀っていた。葦原は、ほぼ緑色になって辺りと一体化してきた。前回行った時は、まだ枯れ葦が多く黄色っぽく、下から新芽の緑が伸び始めた時だった。
この葦原でギョッギョッギョッシとうるさいほど鳴いていたオオヨシキリも静かになって、時々あの鳴き声が聞こえるだけになっていた。そして下界へ下りていく。暑っつ〜い!! 
飯綱では15℃だったが長野市街地へ下りてきたら気温は20℃を超していた。でも、まだ風は涼しいから良かった。

今回は雨の飯綱だったが、雨の割には、夜中や明け方に強い雨が降り、日中は、比較的小雨や止んでいる時間が多く、けっこう楽しめた。
小鳥は姿こそ見えなかったものの、我が家の森に今夏来てくれたキビタキが終日歌ってくれ、隣の森ではにぎやかなウグイスが、これも終日歌い続けてくれた。時折、キョッキョッキョキョキョキョと、ホトトギスも楽しませてくれた。

また、何と言っても、この時期は高原の短い夏であり、植物が一番輝いている時季のようにも思える。花を咲かせたり、ぐんぐん伸びたりして、生き生きしている。
我々人間も、時々こういう生き生きした世界に入り込み、命の洗濯をしたらどうだろう。
梅雨の森、美味しい空気と目にも鮮やかな緑、その中に生きる小さな命、草花、昆虫、野鳥など、彼らから生きる力をもらったような気がする。

梅雨の時季味わえる自然を満喫できた。

今回は、出かけついでに戸隠で竹細工の椅子を見たかったので、車で出かけ、鏡池、植物園、越水が原をぐるっと回ってきたが、どこもガスがかかっていて、そこへ行くだけで車から降りることなく中社へ向かった。

何軒かある竹細工店を見て歩いたが、同じ?籐の椅子でも店によって値段がずいぶん違う。一脚、5000円から3600円と値段の開きがあった。各店で物を見るが違いはなさそうなので、一番安いのにした。やっぱり土産物屋で売られていると高く、そこで作っている竹細工店だと安い事が分かった。

帰りしな、ちょっと知り合いの家に寄り、いろいろな草花を見せてもらった。このご主人は、仕事の合間に近くの山を歩いて、いろいろな草花を収集してきて、自分の家の庭に植えて育てているのだ。

戸隠だから、その辺りの山々と同じような環境なので山の草花もうまく育っていた。いろいろ説明してもらったが、きれいだったのはシコンカラマツの花だった。雨にぬれて水玉と共に見る花は、新鮮な感じを与えてくれる。他には、ヤマハハコ、サンカヨウ、ウバユリ、ハクサンオミナエシなど。

梅 雨 の 森

そんな梅雨空の下を走り、上信国境の長短幾つかのトンネルを貫け、八風山トンネルを貫けると、そこには真っ青な空に入道雲が湧き立つ夏の季節が待っていた。この辺りは標高900m。さらにもう一つトンネルを貫け佐久平パーキングエリアだ。ここまで来ると標高は800m、あっという間に100mも下がってしまう。一休み、お昼だ。車から外へ出ると陽射しが暑いけれど風は涼しい、でも、ここでは陽射しのほうが勝っているようだ。

ここのPAでは、新鮮野菜と米が売られていたので小屋での食料として買った。この季節になると、ローカルなパーキングエリアでは、その土地の人たちが、野菜など農産物の即売所を開設していてくれるので、助かる。キュウリ、ナスなど朝採りの美味しい野菜が安価で手に入る。

既に、梅雨は明けたような天気が続いていたが、その日は梅雨空だった。
6月上旬に行って以来、一ヵ月半ぶりに飯綱へ行ってきた。

出発前日までは、夏のような暑い日が続いていたが、その日からは梅雨のような天気になってきた。朝、起きたときは晴れていて、いい天気だった。天気図を見れば、前線が南下してきそうで、不安定な天候であることは、はっきり判った。10時頃家を出て、関越道に入り順調に走って行くとフロントガラスにポツポツと雨粒が当たり始めた。降って来ることは予想していても、やはり降らないでいてほしいと・・・すると雨粒は止んで、結構明るい梅雨空になった。

群馬県に入ると関越道から上信道へ。今までは、左手に遠く多摩から秩父方面の山並みが、正面には上毛の山々が見えていたが、この辺りからは上信国境の山中へ入り込み、右手に高崎、前橋などの市街地を見ながら走る。
この辺りに来ると、御荷鉾山、南牧から荒船山方面の山々に霧がかかって墨絵のような風景が現れ始めた。山の方では、雨が降ったり止んだりでこのような風景を描き出しているのだろう。

佐久、小諸、上田を通り過ぎてさらに長短のトンネルを貫けると善光寺平だ。そこは真正面に飯縄山が見えるはずだがガスの中だ。他の主だった山も見えない。

長野市内を通り抜ける頃から、いい天気?晴れてはいるけれど、時々バラバラっと大粒の雨が降り始めた。「キツネの嫁入り」だ。飯綱の方を見れば、明らかに雨模様だ。

いつものように、善光寺さんの裏手の七曲を登り、スノーシェードを貫けると大粒の雨が断続的に降っていた。ワイパーを早めるが一時的に前が見えなくなる。途中でも大雨に見舞われたが小降りになり始めた頃、小屋の前まで来た。ところが、公道から小屋までの道が川のように雨水が流れていた。

我が家の小屋は、なるべく自然のままにしておくということで、道路はチップ材を撒いてあるので、それが流されて、途中で堆積してフカフカになっているので、そこを通過できるか、一か八か乗り入れた。グニャグニャという感じで車体が振られたが、そこはAWD車、無事通過でき小屋に到着した。

小雨も止んだところで、車を降り荷物を運び込んだ。

ここまで来ると涼しい。長野市街では、風は涼しいが30℃くらいはあった気温も、ここでは15℃だ。陽が当たっていないせいもあるが、毎日30℃を超える場所で生活していた身にすれば、ここは別天地だ。

今年は、キビタキが我が家の森に棲みついているようだ。前回来た時も近くで歌っていたが、今回も相変わらずキビタキが歌いながら迎えてくれた。♪ピーチッチ ピーチッチ ピィーチッチリリリッチリリリッチ ピリリ チョッチョピー、チョッチョピー♪

辺りではウグイスもさえずっていた。でも、今頃のさえずりは、春ごろのように♪ホウ ホウ ホウ ホゥ〜ホケキョ ホウ ホウ ホウ ホゥ〜ホケキョと繰り返すのではなく、♪ホーホケキョを単発でさえずる。また、いきなり ピッピッピッピッピリッピリッ ピッピョ ピッピョ  ケキョケキョケキョケキョキョキョケキョ・・・と、所謂ウグイスの谷渡り、というさえずり方をしていた。 

小屋の掃除をし、雨上がりの森の中を歩くと、いろいろな花が咲いていた。紫の花を咲かせているコバギボウシ、ソバナ、ホタルブクロ。白い花のオカトラノオ、ノリウツギなど。

前回行った時、大久保の茶屋の女将さんからもらってきた、クリンソウを植えていった。あの時は花を付けていたときだったが、今は花の跡に種なのか実なのか良くわからないが丸い玉を付けていた。すっかり根付いているので来年の春には花を見せてくれるだろう。

我が家の森を歩いている間中も、ウグイスとキビタキは歌い続けていた。その間にホトトギスの鳴き声が遠くで聞こえていたが、近づいてきた。キョッキョッ キョキョキョキョ。ウグイスの近くへきてしばらく鳴いていたが、またた遠ざかっていくキョッキョッ キョキョキョキョが聞こえた。

少し静かになったかと思っていると、♪チョッチョッリー ピィーチョッピピロピィーと、澄んだ囀りが聞こえてきた。鳴き声のする方を見るがなかなか姿を見つけられなかったが、よ〜く見ると少し離れた木の天辺で囀っているホオジロの姿を認めた。一生懸命なところが良い。

やがて、夕暮れが訪れる頃になるとウグイス、キビタキの歌声もいつの間にやら聞こえなくなっていた。そして小屋へ入ってしばらくすると、雨が降り出した。大雨が予想されると天気予報は言っていた。

未明からの雨音で目が覚めた。寝ぼけ眼の頭で、あぁ〜やっぱり雨降りだと思いつつ、雨音を聞いていると、それに雑じって小鳥の鳴き声がした。キビタキだ!窓を少しあけると、澄んださえずりが聞こえた。雨でも早朝から歌っていたのだ。

早起きは、キビタキだ。夜明けとともにと言っていいくらいに早くから囀り始めるようで、私が目覚めて耳を澄ましてみると、かすかに聞こえた。窓辺へ行き少し窓を開けると懸命に歌っていた、でも、姿は見せてくれなかった。

ウグイスは、少しネボスケだ。6時半くらいになると、ようやく歌いだす。そして、両方ともほぼ1日中歌っていた。
昨夜は寝るときも降っていたが、夜中に目が覚めた時は静かだった。明け方から降り始めたのだろう。今日は、天気が良かったら遠出をしようと考えていた。でも、やっぱり予報どおり雨・・・・

けっこう強い雨が降っていた。窓越しに、外の樹木を見ていると時々葉っぱがパラッと動いた。よく小鳥が枝から枝へ飛び移る時のようだった。よく見れば、雨水で葉っぱが重くなり、雨水が落ちた途端に葉っぱが軽くなり弾性で戻るのだろう。見ていると、あちこちで葉っぱが動いていた。

しかし、そればかりではなく実際、我が家の森に棲むキビタキも囀りながら飛び回っているので、時々姿を見せてくれるので葉っぱが動く度にパッと見るが、それは葉っぱのイタズラが多い。

しばらくすると、雨は上がってきたが空を見上げれば、いつ雨が落ちてきても不思議はないような空模様なので、今日もこの辺りでぶらぶらしながら小屋の周りの雑草でも取ることにした。

雑草といっても、根こそぎ取ってしまうのは、この小屋のポリシーから出来ないので長く伸びたものを切るくらいだ。それに枯れたヤマザクラの木を2本、これは腐ってきていたので、風で倒れては困るので切り倒した。

この季節、草をよく見ると花ばかりではなくセミやカタツムリなどが草についている。セミは羽化したばかりのところへもってきて、未明からの強い雨で羽が上手く動かせないのか、ジッとしていた。また、この時期あちこちにセミの抜け殻がある。この辺りのセミはエゾゼミだろう。

カタツムリは、久しぶりに見た。
このカタツムリは、直径1cmになるかならないかの小さなものだったが、これから大きくなるのだろうか。

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  marutagoya  2007 Aug. 5 tama
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