ほとんど色がなくなってきて、白い世界が始まった。
今のところ、ざっと鳥瞰図的な見方をすれば白黒のモノトーン的世界だが、一つ一つよく見れば、そこにはちゃんとカラーの世界がある。小さな流れのさざめく水面に映る、黒い木々の背景には青空が映っている。

こうした風景もやがて白い雪によって覆いつくされ、水面さえ隠されていく。何もかも白いもので覆いかぶせ、これから数ヶ月間は隔絶される。

園内を流れる幾すじかの流れも静かだ。音もなく流れているのか分からないほどの緩やかさだ。春の雪どけ時季や夏の音をたてて流れる、あの勢いは想像もつかないほどの、かといって淀んでいるわけではなく、確実に流れている。

その証拠に水面に映る木々は、わずかに歪んで見えているし、少し流れが急なところでは、細波のようなわずかなデコボコが見える。

堰きとめたようになっていて、段差がある場所でも音がしない。緩やかな流れと瀬音が雪に吸収されてしまうからなのだろうか。

異変と言えば、家の近くのいつも行く公園のことを思い出した。今年は例年になく沢山の種類も数もの野鳥が来ていた。そんなことと関係があるのか・・・少しさびしい気分もあったが、それよりも既に冬支度を終えた公園内を歩けるほうがうれしい。

遊歩道橋に手すりのロープははずされて開放感がある。そして人っ子一人居ないのがもっといい。独り占めの世界だ。

森林植物園内を歩いてみた。今年は、熊の出没も何回かあったと聞いたが、もうこの寒さでは冬眠したのだろう。静かな森になっていた。既に積雪は15cmくらいはある。歩くたびにグッグッという雪を踏みしめる感じが心地良い。もっと寒くなってからのこの辺りの雪は、キュッキュッという感じで、もっともっと心地良い。

それにしても、静かだ。雪を踏むあの音しか聞こえない。野鳥の鳴き声が聞こえないのだ。全くといっていいほど聞こえない。昨年の今頃は、ツグミ、アトリが幾つもの群れを成してうるさいほど居たのにどうしたことだろう。今朝の散歩の時には、小屋の周辺にウソの群れとゴジュウカラ、エナガ、コゲラ、アカゲラ、シジュウカラなどが見れたのに。。やっぱりここでも異変が起こっているのだろうか?

飯綱へ来れば、お決まりのコースとして戸隠めぐりがある。この日もあまりいい天気ではなく、初めのうち時どき雪がチラつくような天気だったが、出かけてみた。雪が降った後だったので鏡池へ通ずる道路は雪が積もっているのではないか、心配だった。何といっても普通タイヤなので・・・でも、いざとなればチェーンがあるからと、少し強気で行った。聞けば、宝光社から鏡池までは除雪をするそうで、反対側のスキー場側はしないんだとか。

鏡池に着いてみると、車は1台もなく、人影もないと思ったら1人だけカメラを据えて写真撮影をする人が見える。当然といえば当然、平日のこんな薄ら寒いような日に、こんなところをウロウロしているのは、よっぽどの酔狂ものだろう。と・・・納得して

もう、池全体に氷が張っていて、鏡池ではなくなっていたけれど、それはそれで険しい戸隠山に雪が積もり、峻険な場所には雪がつかず、いっそう厳しい冬の姿をガスがとり巻き、見え隠れする。それに対して、池のほとりのこんもりとした広葉樹林に暖かな陽射しがあたり、冬山の明暗のようなものを感じさせていた。 ここも、あと半月もすれば雪に覆いつくされて真っ白で静かな世界になるだろう、背後の戸隠山だけは、雪も寄せ付けない厳しい表情でいるのだろうが・・・・。

また、やって来たモノトーンの季節

今年は、ほとんど山小屋へは行けなかったが、雪に覆われる前に一度行って様子を見な
がら、冬支度をしようと出かけた。
今冬は、暖冬だといわれているが、どうなるのだろう。昨年は11月の平均気温が高かったが、12月に入って今頃は、ドカッと大雪が降った。今回は、行った日の翌朝は2〜3cmの雪が辺りを白くした。本当に暖冬なのか?それでも最低気温は氷点下を少し下回っていた。
この場所は標高1,100mくらいだが、ここから標高が少し高くなっただけで積雪は15cmくらいあって、あの辺りではそろそろ根雪になるのではないだろうか。やがてこの辺りも白く覆われて、見るものは白と黒のモノトーンの世界になっていくだろう。

10月に行ってから1ヶ月半ぶりの山小屋行きだ。この日は、仕事の関係で午後からの出発となった。12時を少し回った頃家を出て、買い物やらを済ませ関越高速道へのったのが12時半。やはり平日の午後なので道路もそれほど車の数も多くなく快適に進む。

天気もまずまず、すっきり晴れ渡っているわけではないけれど、北上するにつれて埼玉西部の連山から荒船妙義が左手に、ほぼ正面には榛名伊香保、その奥には、既に真っ白く雪をいただいた上越の山々、やや右手には赤城連山と上州の山が目に入ってきた。

黄葉の名残の林が車窓を後ろへ後ろへと走り去っていく。もうほとんどが枯れ色の世界となって広がっている。
やがて、関越高速道から上信越道の分岐を過ぎると、さっきはずいぶん遠くにあった妙義のギザギザした山並みが目の前に現れる。
それと同時に正面に、女性的でなだらかな曲線を描く浅間山が見えてくる。この山は、もうはるか遠く十代の後半の頃に登った。
大きな火口だったこと、その周りをぐるっと回ったことが記憶に残っている。

上信越自動車道松井田妙義IC−佐久平PA間は、群馬県と長野県の県境を貫く長短10本のトンネルがあり、4km あまりの八風山トンネルはその中で最も長いトンネルだ。これらのトンネルをぬけると、信州の県歌「信濃の国」にも歌われている「松本、伊那、佐久、善光寺」の4つの平の1つ「佐久平」が開けてくる。

やや左手には、八ヶ岳連峰が大きな塊で鎮座し、それに続く美ヶ原高原、北アルプスとパノラマは開けていく。佐久平を走り、五里ヶ峯トンネルをぬけ、最後の有明山トンネルを出ると善光寺平だ。真正面には、やわらかな曲線のシルエットがきれいで女性的な感じをした飯縄山が真正面に見えてくる。この時季、信州の北部は時雨れ気味でうっすら霞んだような見え方だ。

夕暮れが早いこの時季、自宅を午後の出発で来ると山小屋へ着いて、まごまごしているとすぐに暗くなってしまう。もっとも市内で食料の買出しなどしていたから当然だが・・・
さて、掃除をして・・・・と

小屋へ着いた日は、比較的暖かかった、天気予報では北部山沿いでは、夜半に雪が降ると伝えていたが・・・はたして、翌朝起きて外を見ると、辺りは真っ白な雪がうっすらと地面を覆っていた。昨日はまだ紅黄葉の枯れ葉が色のある世界を広げていたが、今は白と黒に見えるモノトーンに変わっている。

さっそく外へ出てみる。何かうきうきしてくる。子どものころ寝る前に雪が降り始めると翌朝が楽しみで早々起きて雪かきをしたことを思い出す。

あの頃は、今と違って一晩に50cmくらいは平気で積もる時代だったので雪が降れば、大人は早朝に雪かきをして大通りまでの道を確保するために一生懸命だったが、私達子どもは、それに交じって遊び半分で、犬やネコみたいだったように、今は思い出される。

あの頃もそうだったが、誰も歩いてない雪道に自分の足跡をつけて歩くのは気持ちいい。この朝も、陽射しが射し始めた道には、まだ何の踏み後もなく、暖かい陽射しに向かって歩き始めた。

朝の散歩気分で歩き始めたが、野鳥の鳴き声に引かれてカラマツ林へ行き着いた。そこにはヤマガラが忙しなく木から木へと飛び回っていた。さらに小鳥の鳴き声に誘われて林の中へ入っていくと、前々から歩いてみたかった信濃路自然遊歩道へ突き当たった。この遊歩道は、飯綱高原から戸隠方面へとつながる遊歩道で、大座法師池から、一の鳥居跡、戸隠方面まで続く。

突き当たった場所は、一の鳥居跡から戸隠方面へ少し来た場所だったので、まず戸隠方面へ歩いた。この先には、大久保の茶屋があるはずなので、そこまで行ってみようと歩いた。

枯れ葉がじゅうたんの様に敷かれ、その上にうっすら雪を振りかけたような杣道を歩いた。落ちたばかりの枯れ葉ならばカサコソカサコソ乾いた足音がするのだろうが、落ちてから時間が過ぎて、湿った落葉は足音をたてずに歩かせてくれる。

溝のようになった杣道をしばらく歩くと、「四丁」と読める石碑が長い年月そこにあったようにポツンと建っていた。この辺りは何かの境になっていたのだろうか。

この辺りは、飯縄山のなだらかに広がっていく裾野の末端あたりで杣道も急な坂道になっている。その坂道を下っていき右に曲がった先の林の向こうに、山間にひっそりと大久保の茶屋の建物が見えてきた。

その昔、善光寺参りの後、戸隠神社へお参りに行く行者たちが、この山道の中ほどの茶屋で一休みして、お茶を一杯のんだり、蕎麦を食べて一服。この先の戸隠まであと一息といったお茶屋だったのだろう。
今は、美味しい蕎麦を食べさせてくれる。

朝の散歩なのにずいぶん遠くまで来てしまった。来た道を引き返して、今度は反対方向の一の鳥居跡の広場まで行ってみた。

かつて戸隠神社の一の鳥居があったことから命名されたそうだ。

散歩の合間に樹林の間から遠くを見通せばその向こうには、真っ白く雪に覆われた北アルプスの姿が大きく見えた。

ピーヒョロロ〜 ピーヒョロロ〜と
鳴きながら飛んでくる猛禽類が
近くの木の天辺に止まった。
何だろうと双眼鏡で見たけれど
よく分からない。
ピーヒョロロ〜という鳴き声から
すればトビかな?

それくらいしか知らないから。
でも、なんだったんだろう。
カメラを向けたら飛び立った
ところだった。

朝のお散歩が済んだので、小屋の冬支度をしなくては、といってもそれほどやることもない。本当はベランダの防腐用のペイントをする予定だったけれど少し時期が遅くなってしまった。
昼間になると、夜間に屋根についた水滴がベランダに落ちてきて氷ってしまいそれが融けるのは昼過ぎ。その水分を飛ばしてからとなると、また氷る時間になってしまいできない。ということで今回はやめることにした。
それに年が明ければ、そろそろログ材の伸び縮みも治まってくるころなので全体のオーバーホールを考えなければならない時期だ。

今回は、昨年の大雪で屋根から落ちた雪の塊で水道の蛇口が折れてしまったのをずっとほったらかしにしてあったので、蛇口だけ取り替えた。水道管の立ち上がり部分も少々曲がっているが使えるので、添え木をしておいた。
また、これも厄介だけれど、こんな寒冷地ではとても重要な水道の元栓の位置を示す位置表示の棒を立てた。

この棒も、昨年の雪では落雪で折れてしまったので、昨年の棒を添え木にして、今度は折れにくい生木を立ててみた。
これで、今回の冬支度はお終い。この冬はどうだろう。今年はもうこれで来れないだろうから、次に来るときは、雪に埋もれた頃だろう。でも雪の量はどんなだろう。

長野市街地はうっすらした霞の下、左手から根子岳、菅平高原、霞んで遠望できる浅間山。やがてここから見える景色も白く覆われるだろう。

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  marutagoya  2006 Dec,11 tama
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