長い冬からようやく抜け出そうとしている時季。この飯綱にも春の兆しが見え始めた。まだ沢山の積雪があるが、樹木の活動が始まり大きな木の根元から雪が消えはじめている。その後には、枯れ色の樹木が復活し、萌え始める。

この時季は、小鳥たちもにぎやかになる。冬鳥は旅立ちのために沢山の餌をにぎやかに食べて体力をつけて旅立っていく。入れ替わるように夏鳥たちの到来だ。まだ寒いここにもそろそろ姿を見せてくれるのだろう。

戸隠から帰ってきて、夕方散歩がてら小屋の周りを歩いてみた。夏至に向かってどんどん日伸びはしているので、まだ陽は落ちていないがやはり夕方日中の明るさとはちがう。こんな一時、塒へ帰る小鳥たちと出あえる時間帯だ。今日一日のさえずりを残しながらどこへやら飛んでいく。

この日は、帽子をかぶったようなコガラに出会えた。木の実を口に銜えながらキョロキョロ。やがて周りにいた仲間たちと林の奥へ飛んでいった。

この公園は、野鳥ばかりでなく哺乳動物も数多く生息している。この日は、やっぱり番なのか2匹のリスが駆け回っている姿を捉えることが出来た。木の実を口に銜えて雪の上をチョコチョコ素早く走り回ったかと思えば、カラマツの幹を上がったり下がったり、本当に忙しなく動き回っていた。一頻り私の前でチョロチョロしていたが、森の奥へ走っていった。

そんな中でも、小鳥たちはたくさん居た。やっぱり今は、マヒワ天国といったところだ。群れになって飛び回っていた。雪は固まっているので除雪してない林間でも入っていけるが、そこまで入っていく気にはなれず除雪してあるところだけ歩いた。

色彩のない森の中を流れる小さな流れは水辺の雪を少しずつ融かしていく。まだ、水ぬるむ・・・というわけにはいかないが、あと1ヶ月もすれば、この水辺はミズバショウが生い茂り、水量も増してにぎやかな流れになるだろう。

Prologue

飯綱へ行って来た。 北信濃にも、ようやく春の気配を感じるようになってきたが、見渡す周囲の山々はまだまだ白い。
3月に行ったときに、あまりにも多くの積雪があったり、行った日に新雪が積も ったりで、その後どうなったか心配していたが、1ヶ月ぶりの飯綱だ。

さくらの季節が終わってしまった東京を後にして、関越自動車道を走り始めた。 しばらくぶりの週末ドライブになった。最近は、いつも平日なので渋滞を知らない。 この日は土曜日だったが、10時過ぎの出発だったこともありそれほど混雑も無く快適なドライブだ。東京から北西に伸びる関越道も埼玉県を通り抜け群馬県へ入るとすぐに上信越道へ入っていく。
車窓を流れていく風景で目に映るさくらの花は、東京から離れるにつれて葉桜から満開、何分咲きかへ変わっていく。藤岡、吉井、富岡辺りへかかると山間を走るが、少し前の枯れ色から新緑が出始めた萌黄色になってきた。その中に淡い紫色やピンクがところどころ散りばめられていて、全体が霞んだような柔らかな春独特の風景があった。やがて、上信県境の長いトンネルを抜けると、そこはまた、今までの春モードがリセットされて枯れ色の世界が広がっていた。

ようやく・・・山にも春の気配

軽井沢から小諸、上田、長野へ進むにつれて、また色彩の世界が始まる。
まだまだ、色彩は乏しいがアンズの花は見ごろをむかえているという。ソメイヨシノはもう少しだったが早いヒカンザクラは見ごろを過ぎていた。そろそろいろいろな花が開きそうで緑も少しずつ目につくようになってきた。

この大谷地湿原を通り過ぎると、季節が少し変わるような気がする。というのは、冬に来た時にもここから積雪が多くなっていたからだ。今でも、この辺りからは林間の地面には数十センチメートルの雪が残っている。しかし、どの木の根元を見ても、木を中心にその周囲は完全に雪が消えて地面が出ている。 これはどうしてだろう? 木は秋の紅葉を機に活動を休止して冬篭りに入るが、再び木が活動し始めたからだろうか。

そこからしばらくしてバードラインからわき道へ入って、小屋に到着だ。この辺りは、大座法師池辺りの風景とは、ずいぶんと変わってきて、冬景色?のような感じがする。これは地面に広がる雪のせいだろう。吹き溜まりでは50cmくらい、全体には10〜20cmくらいは残っていた。

この週末は、天気予報では崩れてくるということだったので、小屋の様子をみれればいいくらいの気持ちでやってきた。ところが風は冷たいが天気はいい。日当たりではけっこう暖かい。何だか儲けものでもしたような気分になった。

いつものように、長野市内を通り過ぎ、善光寺さん裏手の市内を一望できる遊覧道路、七曲を通りバードラインへ、そして飯綱へ向かう。 遊覧道路の道すがら、道路わきに植えられているソメイヨシノの赤く膨らんだ蕾がもう花開く直前で桜色に変わりはじめていた。

バードラインを走り大座法師池に到着したが辺りに雪は無い。当たり前といえばそうだが、見上げる飯縄山は1ヶ月前とあまり変わっていないような雪化粧のままだ。でもそれは頂上付近の遠望で、スキー場や裾野は見て分かるほどに雪どけが進んでいる。林間を切り開いて、幾本もある白く幅のあるすじ状のゲレンデも上部に雪を残すだけで下部は周囲の色と同化している。やはり春が来ているのだ。

バードラインわきの飯縄山の裾野に広がる大谷地湿原は、今、葦の枯れ野になっているが、この湿原を流れる小川に沿った水辺には青々としたミズバショウの葉っぱが少しずつ茂り始めている。この葉っぱの間から、花をびっしりつけた棒状の花穂を抱いたような真っ白な仏炎苞が出てくるのもまもなくだろう。そして、この枯れ野はやがて真っ黄色なリュウキンカと白いニリンソウの花が咲き乱れる。それが高原の春だ。

飯綱へ

ところが翌朝、外を見たら雪がチラチラして時雨れ模様。車をみれば5cmくらいの積雪になっていた。天気予報どおりとなったのだ。もう4月も半ばだというのに、まだ雪か!やっぱりここは山なのだと実感した。ぐずついた天気も早朝だけで時間とともに良い天気になってきて、雪もじきに融けてしまった。やはり季節は春なんだ。雪融けの早さにも驚いた。

飯綱徘徊

さあ、天気が良いのなら、やっぱりこの辺りを歩き回らなければ・・・昨日から鳥たちがうるさい。
昨日、小屋へ着いて掃除を始めたら、外で♪ケッケッケッケッ、キョッキョッキョッとアカゲラがうるさく鳴いていた。しばらく手が離せないのでそのまま掃除をしていたら鳴き声が遠ざかっていった。どこかへ行ってしまったようだ。またひと時したらさっきと同じような鳴き声が聞こえてきた。でもまだ手が離せない、すると一頻り鳴いていたのが、また鳴き声が遠ざかっていって聞こえなくなった。そうこうしていると、また騒がしく鳴きながらやってきた。何だか早く外へでておいでよ。とでもいっているような感じだ。仕方ないので外へ出てみると、敷地内の雑木の高いところで相変わらずケッケッケッケッ、キョッキョッキョッと鳴いていた。しばらく様子をみていたら、また飛んでいった。この辺りをぐるぐる飛び廻っていたようだ。
そのアカゲラが、今日も朝早くから巡回を始めたようだ。近所を歩き回ってみたら、半径100mくらいの範囲で飛び回っていたようだ。

今朝は、雪が少し積もっていたが陽が当たり始めると、気温が上がり始めて雪もどんどん融けていく。暖かくなってきたせいか鳥たちも活発に動き始めた。

なんといっても元気が良いのは黄色いマヒワだ。♪チュルチュルジューィ チュイーン ツッピン、チュクチュクジューイなどいろいろに聞こえるが、数羽から数十羽もが1本の木に止まって同時に囀るのだから♪コーラスというよりざわめき、雑音になってしまう。

オスは黄色い鳥という感じで、頭は黒く、顔からのど、胸、腹などが黄色いが、メスは、オスに比べると淡色で、顔の黄色味や胸の黄色がなく、脇腹には黒色の縦斑がある。どんな鳥もオスのほうが目立ちたがりやなんだろうか。カバノキ類の木の実にぶら下がってアクロバット食餌、なかなか器用に食べている。

この飯綱の森、といっても別荘地内なのだが、先月も歩き回ったところだ。こんなところだけれどその時期時季にいろいろな鳥たちと遇うことができる。シジュウカラの♪ツゥーピピツー ♪ツッピーツッピーはいつでも聞こえるしヤマガラの♪ツツフィーツツフィーもよく聞ける鳴き声だ。

今日は、マツボックリをた〜くさんつけたカラマツの木でヤマガラが鳴きながらマツボックリから種子を食べていた。マツボックリが多すぎてヤマガラはその中の紛れ込んでいるので見分けがつきにくかった。

他にも、いつも居るお馴染みといえば、コゲラだ。これもギィ−ッギィ−ッとこれまたお馴染みの鳴き声をしながら相変わらず忙しなく、木の幹や枝先へチョコチョコ動き回っていた。

しばらく歩いていくと、♪チュルチュルチィ− チュルチュルチィ−としきりに鳴いている。スズメに似た鳴き声だがスズメは チュンチュンチュングリーという感じで少し違う。姿が見えないけれどしきりに鳴いている。よ〜く見るとスズメに似ている鳥がいる。名前がわからない。ひょっとしたらニュウナイスズメ?帰ってから図鑑を見るとそれはニュウナイスズメじゃあ〜りませんか。木の幹に開いた丸い穴に出入りしながら囀っていたのだ。この鳥を見るのは初めてだ。 

また、道路の両側の林を見ながら歩いていくと、ヒヨドリの番いが仲良く朝のお散歩?枝に止まって羽を膨らませたり、ブルブルっと羽を振ったり身づくろいをしていた。

そろそろ昼が近くなってきたので、帰ろうと小屋の近くへ来たところ、ジューィ、ジューィ キョキョキョキョキョと大合唱。見れば近くの木や地面にチョコチョコ動く鳥の姿がいっぱいだ。双眼鏡で覗いてみると後姿の模様がさっきのニュウナイスズメに似ている?でも口下から胸腹にかけて橙色、これは違う??はて、この鳥は?これまた素人の悲しさだ。
戸隠森林植物園徘徊

今日は、お昼を戸隠で食べようと出かけた。先月は「大久保の茶屋」だったので今回は、前にも何回か行ったことのある中社の「うずらや」まで足を伸ばした。とはいっても、戸隠の森林植物園を覗いてみたいという気持ちがあったので、どちらが優先かという訳でもないのだ。この店は今、大人気の店だ。 ざるそばと山菜のてんぷら、うどの味噌和え、行者大蒜の酢味噌和えをいただいた。なかなか野趣味のおいしいものだった。

ところで、ギョウジャニンニクと似ている植物に、コバイケイソウ、スズランがあるがこの2つは毒があるので要注意だ。スズランは葉っぱが広いからそう間違えることはないと思うが、姿形、香りは良いので注意するに越したことはない。もうひとつコバイケイソウが小さいときによく間違い易いギボウシというのがある。これは食べられるが、ギボウシだと思ってコバイケイソウをとらないように気をつけたいものだ。

森林植物園は、先月より雪の量は減っていたもののまだまだ沢山あった。ようやく連休を目指して除雪作業が始まったというところだ。先月は駐車場が狭いスペースで除雪してあって、園内へ入っていくには1mくらいの壁を登る感じだった。除雪が始まり、トイレの入り口までと森林学習館へは幅、高さ1mくらいで溝のような回廊?が通じ、その先みどりが池の脇を通って森林内の木道は除雪されて、奥社の参道まで開通じていた。
奥社口の公園管理事務所から「小川のこみち」や「シラカバ平」へ通じる木道は除雪中で立ち入り禁止になって
いた。木道の除雪作業も大変だ。幅1mくらいの木道でも一気に除雪はできず積雪が1m強あるために、30cmく
らいの層で何回も行ったり来たりしながら、除雪機がうなっていた。

それにしても、沢山の鳥でにぎやかだった。

いろいろ頭に浮かんでくる鳥の名前と姿、・・・・・しばらく鳥の群れと鳴き声に見とれていたが、・・・・出てきた、その名はアトリだ。そういえば昨年の11月、戸隠で見た鳥だった。この鳥も大きな群れで、はじめ道路わきの木に居たが徐々に森の中へ入って行ってしまった。その鳴き声は、群れで居る興奮?でかジューィ、ジューィというところが強調されて何か違う別の鳥でもいるのかと思わせるような鳴き声に聞こえるときがあった。

その近くへカケスが飛んできて枝に止まってキョロキョロ、ジェーと一声、またどこかへ飛んで行ったり、入れ替わりでいろいろな鳥たちを見れる。鳴き声だけで姿が見えない鳥も沢山居る。ただやっぱり素人鳥見人の悲しさ、鳴き声で何という鳥と当てられないことだ。

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  marutagoya  2006 Apr. 25 tama
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