若葉で覆われた飯綱の森。目を覚ませば野鳥のさえずりが耳に入ってくる。
早朝は肌寒い。まだ若葉が出たばかりで、木々の間は透かして見える。そんな木々や枝の合間を通して朝陽が射し込んでくる。

若葉の季節、緑の季節、それは人間を含め動植物が成長・生長するのに、最も良い時季だ。
芽吹き直後の若葉は、これから迎える梅雨でどんどん生長し、緑濃い大きな葉っぱになっていく。

今は太陽光を透かしている葉っぱは、梅雨明け頃には夏の強い太陽光を透かせなくなるほどに生長するのだろう。
その頃になれば、葉っぱの合間からは、木漏れ日が射し、いよいよ本格的な夏を迎える。そんなみどり濃い季節へと移って行く。

今は、柔らかい若葉が揺れる木陰で、初夏の強くなりつつある陽射しを、そよ吹く五月の風に吹かれてたたずむのもいい。

今頃から、飯綱の森ではセミが鳴き始める。天気が良くある気温になると、一斉に大合唱が始まる。この大合唱をするのはエゾハルゼミ。
今回は昼頃気温が上がってきたときに、一時鳴き始めたが、その後は聞かれなかった。

戸隠といえば、鏡池。
あいにく早朝はガスが出ていた。数時間後にやっと雲の切れ間ができ、陽射しが若葉の森をパッと明るくする。

カッコウが遠くへ飛んで行ってしまうと、今度はすぐ近くでホトトギスが キョッキョ、キョッ、キョン、キョキョキョキョ と鳴きだした。かっこうほど高い木の天辺ではなさそうなところから聞こえるので、近くを見上げるが姿は見れず、鳴き声ばかり。

公園内を歩いても、今は花もあまり見られない。
それでも、イワカガミ、イワヤツデ、ケナシヤブテマリ、二リンソウ、クリンソウが見れた。

園内を歩けば、鳥見の人、森林散歩を楽しむ人、カメラマンといろいろな人たちと行き会う。自分も野鳥が見れれば良いなぁ〜なんて歩いている。
野鳥の鳴き声は沢山聞こえるが、もうこの時季は若葉が多くなって、野鳥が鳴いている方を探しても、なかなか姿を捉えることができない。
この日、木道脇の小高い山の方から ♪カッコウ カッコウ と大きな鳴き声がするので、どこかな?と・・・やっぱり見えない。しばらくすると遙か高いところを2〜3本先の木へ飛んで行き、またカッコウ カッコウと・・・

飯綱に来れば、やっぱり戸隠へ足を延ばす。
森林植物園の森は、車を降りると野鳥の鳴き声が辺りに満ちていて、ああ戸隠だ1という実感がわく。

水芭蕉が終わり木々の若葉が芽吹くときだ。
まだ葉っぱが茂っていない今は、樹木の間から見える戸隠山の荒々しい岩肌の所々に残雪が見えた。ここくらいの標高になれば、朝夕の気温は一桁代に下がるだろうから不思議は無い。

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marutagoya  2021 May 30  tama
若葉の森
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関越自動車道から分かれて上信越自動車道へ入ると、山の麓や山の合間を上ったり下ったりしながらも徐々に上っていく。
辺りは、もう新緑から結構濃い緑に変わってきていた。更に進んで、上信の県境トンネルを抜けると、標高が高くなっているせいか、この辺りはまだまだ新緑の木々が萌えていた。そんな新緑の若葉の合間合間に紫色の藤が綺麗だ。

久しぶりに雪解け後の山小屋の様子を見に行かなければと思いつつ、コロナ禍で非常事態宣言が出されているので、しばらく様子見をしていたが、人が密集する場所でもないし、かえって人との接触は無いことを考えれば、良いかと行ってきた。

5月の半ばには、東海地方まで梅雨入りし、この辺りでも雨や曇りの日が多く、関東甲信でも早ければ5月中にも梅雨入りかと思っていたが、5月も終わる頃になったら晴れる日が多くなってきた。

長野市街地を通り抜け、善光寺の裏山を登る七曲がりヘアピンカーブの連続を上る。
以前、飯綱・戸隠へ行くには、1965年に開通したバードラインを長野市街地、善光寺平を一望できる、この道路を便利に使っていた。
しかし、1985年7月、大きな地滑りが起き、バードラインの入り口から地附山を登る区間が流失し不通となった。このため旧道の七曲がり道路を使うようになった。ただ、ここは大型車が通れなかったため、長野オリンピックの開催に合わせて、浅川ループラインが開通した。

七曲がりを登り、途中からバードラインに入る。
この辺りまで来ると市街地とは空気が入れ替わって綺麗な感じがするので、車の窓は全開!

新緑の匂い、そして若葉と藤の薄紫がこの辺りでは真っ盛り。
藤の良い香りが運転していても香って来る。良い季節だ。

大座法師池を過ぎ、飯綱山登山口へ続く道路へ入れば、やがて飯綱小屋へ到着だ。
出迎えてくれたのは、まだ蕾のベニバナイチヤクソウと小鳥の歌声だ。

一段落したので、早速近くの大谷地湿原へ行ってみた。
以前はアシが一面に生え、根元にはリュウキンカが咲く湿原だったが、数年前に多くのアシが刈り取られ、今は奥の方に少しだけアシがある。
リュウキンカや二リンソウは、もう時季的におそく花は盛りを過ぎて数が少なくなかった。

湿原の入り口の木には、今回もアオジが居て歌声があたりに響き渡っていた。

オオヨシキリの声があちこちから聞こえた。ギッギッギッ ギョッギョッギョッ ジィ〜ジィ〜ジィ〜 ジィクジィクジィク・・・
オオヨシキリは、アシの茎に止まり真っ赤な大口を開けて鳴く姿が浮かぶが、今は全く姿が見えない。リュウキンカや湿地の枯れ草の間から声は聞こえるが、姿は全く見えない。

湿原を一回りすると、ゼンマイ、コゴミなどが大きくほけて(植物が元気に育って茂ること)いた。

小屋の敷地内の森には、ウグイスが囀り、毎年夏鳥として渡って来るキビタキが迎えてくれた。
♪ホーホケキョ ホーホーホーホケキョ ♪ピッピー ピッピリピーピッピリピーピッピリピー
今年も、早速歌い姿を見せてくれた。
庭を歩き回ると、マムシグサはいつもの場所に顔を出していた。小さいユリのようなチゴユリは、丈の低い草に混ざって沢山白い花を咲かせていた。
ガマズミは白い花をいっぱい咲かせていた。秋には沢山の赤い実になり、食べられるがけっこう酸っぱい。ドウダンツツジのような花を咲かせるミツバウツギ、花が終わるとハート形をした実がぶら下がってくる。
ここのベニバナイチヤクソウは、アクセス道路脇の藪になっている中に咲く。以前は群落とまでは言えないが、かなりの数があった。ここ数年、藪になっている木々が大きくなってきたり、我々が入り込んで踏みつけたりするせいで、どんどん減少してきたようだ。
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