昨年の11月以来の飯綱だった。12月に入り雪がやってきたので様子を見に行こうと思っていたり、1月になって、数十年ぶりの中学の同級会があるから、そのついでに行ってみようか。2月は姪の婚礼があるから、その時に行こうか…と何回も行こうとしたけれど、何かかにか、特に1、2月は雪による高速道路の通行止めなどで行く機会がどんどんつぶれた…。

そして、3月半ば、まだ雪があるうちにという願いがようやく叶った、今回の飯綱行きだった。

今回も、平日の昼間12時に出発した。最近の土曜、日曜の朝は、関越道の渋滞が激しい。事故がおきたりと、そんな訳で週末は避けるようにしている。

ここのところ、気温が上がってきて4月の気温だと天気予報では言う、頬を撫でていく風は心地よく春が来たなぁ〜と思う。車窓の風景も春霞に包まれて、遠くを見通せない。締め切った車は、陽射しで暑いほどだ。高速道だが時々窓を開けて入れる空気は気持ち良い。

3時過ぎには、長野市内の叔母に「峠の釜飯」を届け、善光寺さんの裏山をいつものように登って
いく。一望する善光寺平の市街地は、やはり春霞でぼんやり時々車のウインドウが光るのかキラ
ッとしたり、Mウエーブの屋根半分が太陽に反射してその存在を見せつけていた。

この盆地を囲うようにして四方に見える山々も、遠く志賀高原の雪山、菅平の白い根子岳などが
ぼんやりとした輪郭で見えていた。市街地はすっかり春模様、これじゃあ山も雪なんて無いので
はないかと心配になってしまった。

しかし、大丈夫。高度を増していくと道路の両側に雪が見え始め、大座法師池を過ぎるといつもの
事ながら、積雪はぐっと増える。道路はカラカラに乾いているが両脇は1m前後の雪だ

やっと来れた飯綱の森

バードラインをはずれ、飯縄山登山道へつながる道路に入ると、いよいよ飯綱の森だ。カラマツ林は一面の雪原。正面に飯縄山があるが、頂上付近はガスにまかれていて見えない。真っ直ぐの道路を左折して小屋への道路を走って行くと、ここでは、樹林の間にポッカリ穴が開いたように、そこに戸隠山の西岳の雪も寄せ付けない岩稜の一部が見えてくる。しかし、今は、ここも春の霞んだ風景で、あの岩稜の迫力は半減していた。

ようやく小屋へ到着。あたり一面雪原だが小屋の屋根には全く雪が無く、落ちた雪だけが2mくらいの小山を作っていた。事前に駐車スペースの除雪をお願いしておいた。

そうでなければ、雪が降る度に道路の除雪をするので、住人が居ないところの入り口付近は小山のように雪が積み上げられてしまう。近所の人の話によれば、除雪車が来たら表へ出ているといいというけれど、その度に出るなんて…以前ここに滞在中に雪が降って、早朝の4時だったか5時頃から除雪車が来て雪かきをしていたのを窓から見ていた事があったが、冬の5時は寒くて真っ暗…

そんなことで、最近は行く寸前に除雪をしてもらうことにしている。そうでないと天気との賭けになってしまうので…駐車スペースのほかに小屋までも除雪して道を作っておいてもらい感謝感謝でした。

いつものことだが、小屋に荷物を運び込んだら、水道の元栓を掘り出さなければならない。今回は除雪をしてもらってあったので、10分ほどで掘り出せた。目印に立てておいた棒も落雪で曲がってしまった。以前に目印をしておかなくて散々な目に有ってからは、毎年降雪前に棒を立てるようにしている。

水道を出して、掃除、ベランダへの落雪も気になる。やはり小屋も使い始めて、今になってみれば、いろいろ使い勝手が悪いなどの点が出てくる。まあ、そんなことは承知していたはずなんで、金は無いから知恵と工夫で克服なんて考えている。

それにしても、落雪については、もう少し考慮しておけば良かったかかな?などと考える。ログをもう2段くらい積み上げて、屋根の傾斜をなだらかにしておけば、雪もベランダからもう少し遠くへ落ちるだろうから小山のように積みあがってもベランダへ流れ落ちてくることは無かっただろう…、などなど考え始めると切りが無い。

小屋の中の掃除は、暗くなっても出来るので、とりあえずベランダに落ち込んでいる雪だけでも片付けておきたかったので、早速作業開始。3月の雪だから重いのを覚悟していたが、意外や意外まだサラサラの冬の雪だった。という事で、さほど労せず作業終了。

夕方のお散歩にでも出ようかと考えたが、着いてから一休みもしていない。これはよろしくない!まあ、作業をしながらも、小屋の森へはけっこう小鳥が飛んで来ては囀りを聞かせてくれていたので、手を休めては耳を傾けていた。 ”ツピーツピーツピー ツーツー  ツーツーピー、ツーツーピー  フィーフィーフィー  チーチーチー、チャッチャッ ”などなど自分で認識できる範囲の囀りと、そうでないのも聞こえていた。

この天気も、明日は雨だと天気予報はいっている。明日は久しぶりにスキーに行きたいと思っているのに…天気予報は、微妙な言い方をしていた。曇りでところによっては雨、あるいは雨は午後からで本降りは夜になってからだとか…。
果たして、翌朝は…天気予報どおりどんよりとした曇り空。それでもスキーも出来て、ダメだったら雪の中のお散歩で鏡池辺りまで足を伸ばそうかと思っていた。いざ出かける段になったら曇り空が泣き出してしまった。もう、せっかく支度したのにぃ…と思いつつも、春スキーは雨にたたられることだってあるさ。と出かけた。雨は強くなってきたような感じだったが、スキー場に着くと雨はほとんど降っていない。ただ霧がすごい。10mも先が見えない。リフト券売り場で、運転状況を確認すると、通常どおりですよ、というお返事。ならばと、さっそくシニア半日権を購入、13時までバッチリ滑りましたよ。
午後は、やや雨脚が強くなってきたが、一休みしてベランダの外にある雪の小山と格闘。部屋の中からの眺めが雪の小山によって遮られるので、少しいじっておくと雨によって解けやすくなるし、眺めも確保できるようになる。

一段落したので部屋に入り、窓越しに外を眺めながらコーヒータイム。そこから見える笠山は、霧がかかったり見えたりしていた。小屋の森にある白樺の白さが嫌に目立つ。地面の雪と対照的な黒々した雑木林の中に混じって生えている白樺、雨に洗われて目立っているのだろうか。

この日は、良く動いたスキーも4時間バッチリし、雪片付けをし、風呂に入ったらバタンキュー、それでも寝入りばなは、雨脚が強かったのか屋根打つ雨の音が少し気になっていたけれど、やがて夢の中…zzz。
天気予報によれば、翌朝は冷え込んできて雪に変わるかもしれない?といっていたが、雪どころか暖かい
朝を迎えた。空は、雲が多いけれど明るくなってきていて、切れ間もあった。雨上がりで気持ち良い。
朝のお散歩に出かけてみた。
小屋の外へ出ると、さっそく野鳥の囀りが聞こえてきた。やっぱり一昨日のと同じ3、4種類は分かる ”ツピーツピーツピー ツーツー  フィーフィーフィー  ツーツーピー、ツーツーピー ”だ。でも、フィーフィーフィーだと思うのだが、フュィーーフュィーー と少し違うように聞こえてきた。長く透き通るような鳴き声だ。同じ鳥だとは思うのだが、この辺りは聞き分けができない。
いつものお散歩道を行くと、小鳥達がついてくるような感じだ。今度は姿を発見!一つ見つかると、次々に目に入ってくる。シジュウカラだ、ゴジュウカラも数羽飛び回っている。時々フィーフィーと囀る。シジュウカラは飛ぶ時にブゥ〜ンという羽音がするのですぐに分かる。
突然、頭上でツーツーピー、ツーツーピーと鳴き出した。見上げるとヤマガラが茶色いお腹を見せていた。聞きなれない鳴き声がする。見るが動きが素早く、何だか良く分からない。あまり天気が良くなく少々暗い感じだ。曇天を背景に鳥がシルエットで見える感じなのと、万年初級鳥見人なので見分けがつかない。それでも動き方や囀りでエナガかなと・・・
久々に訪れた飯綱だったけれど、山にも春の足音が聞こえてきたのか、樹木の根っこの辺りは、それを囲うように雪解けが始まっていた。これは、樹木が目覚めたしるしなのだろうか。

東京から群馬、長野への道端には春への移ろいがたくさん見られた。関東では、3月に入ってから急に春めいてきて、電車の暖房が暑く感じる日が多くなったし、着ている厚手のコートも鬱陶しくなってきた。つい先ごろまでは、どれも必要で早朝などは確り着込まなければブルブル、電車も外気温に負けてなかなか温まらないといった厳しい寒さの今冬だったのに…。
夢の中というと、私の小屋での寝るスタイルはシュラフ(寝袋)で寝ている。やっぱり山小屋気分を満喫したい?ということからかな。最初の頃、シュラフに入って寝ようとしたら、家族からはバカみたい!! なんて言われていたが、今は定着して何も言われない。3シーズン用なので冬はやっぱり寒いので、毛布、布団をかけて寝る。やっぱり変かな??
一回りお散歩をして、帰ってくる途中から雲が切れ始めて、どんどん青空が広がり始めた。暖かかった朝だったのに更に暖かくなってきた。今は、ほとんどの木々が葉っぱをつけていない中で、ヤドリギだけが青々していた。
長野でも市街地から飯綱・戸隠へ行く間に3段階の気候の変わり目があるように感じる。市街地ではすっかり春らしくなり、ロウバイは咲ききり、福寿草も花開いて見頃になっていた。市街地から登っていく途中の集落では、雪がほとんど消えて農作業を始めかけた農家の人たちの姿が畑にあった。そして飯綱の大座法師池から先は、まだまだ雪の世界で、畑は雪の下。道路だけが白い中に黒々と線となって続いていた。

もう、ここまで来たら雪も春の暖かさには勝てまい。春の暖かさは、気候的には一雨毎に暖かさを増していくだろうし雨水が雪をどんどん融かしていくだろう。また、地面からも春はやって来る。地下の岩石中に保有されている熱で雪を融かす。

やっと来れた飯綱だったが、ちょうど良いタイミングで春への移ろいの姿を目の当たりに観、体感した。
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marutagoya  2008 Mar. 18 tama
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