第十一阿ゆら如来 駒つなぎの場
四合目 阿弥陀如来
70歳の飯綱登山
自分が70歳を迎えるなんて考えてもいなかった。年齢なんか考えるものではなく、時と共に遣ってくるもので、それに抗うものではない。
子供の頃は50歳と聞けば、かなりの老人という感覚だったが、今その歳を遙かに超えて70歳になっても老人と言う言葉があてはまらないような気がしている。でもそれは、今の子供目線で見れば、自分が子供の頃と同じように、やっぱり老人に見えるのだろうか。
そんな年齢にはなっても、まだまだ元気いっぱいで、季節の中でも一番良い季節、今まで何回も登ったことがある飯綱山に登ることにした。
2年前の夏、小学3年だった孫と登って以来だが、今回は単独。
コースタイム
小屋出発 登山口 駒つなぎの場 富士見の水場 天狗の硯岩 中社分岐 南峰 飯綱頂上
6:10>>>>>6:25>>>7:05>>>>>>>>7:25>>>>>>>7:30>>>>>>7:55>>>>8:05>>>8:15
下山 南峰 中社分岐 天狗の硯岩 駒つなぎの場 登山口 小屋着
8:35>>8:45>>8:55>>>>>9:10>>>>>>>9:25>>>>>>>>9:50>>>>>10:10
登山口に着くと数台の車が駐まっていて、もう数人の人が登っているようだった。ちょうどその時車の向こうから一人のおじさんが歩き出して登り始めた。
最近の登山スタイル?ストックを突きながら・・・年齢的には同じくらいかな? 私は数十mくらいの間隔を置いて後から歩き始めた。
登山道へ通じる車道を歩くと、林の上に南峰がわずかに見えてる。登山口に並ぶ先行者の車。
登山口から数分登ると林道を横切り、本格的な登山の始まりの鳥居。少しの間やや急な登山道を登ると尾根道になり緩やかに登る。またやや急な登りにかかり振り向くと長野市街地は雲海の下にあるようだ。この辺りはまだ、芽吹き前だがツツジが鮮やかに咲いていた。
標高が1500mを越し、四合目の阿弥陀如来辺りは、登山道には霜柱がいっぱい出来ていた。ザックザックと踏みしめて登る。途中で下山してくる一人目の人に会った。この人はトレイルランニングをしているようだ。
登り始めて30分。駒つなぎの場に到着、一休み。途中で先に登り始めたおじさんを追い越し、その前を登っていたもう一人のおじさんも追い越し、そのおじさん達も到着した。
ふり返ると、やっぱり雲海が広がっている。
駒つなぎの場を出て、ジグザグに斜面を登る。霜柱の道やさらに急な斜面に岩場が現われ、乗り越えていくと五合目の標識が見えてきた。
傾斜のある斜面を横切るようにジグザグに登っていくと、沢すじに”富士見の水場"があり、ふり返ると富士山が見える場所だが、この日は霞んで見えない。ふり返ると雲海が広がっている遠くに浅間山が見えた。
富士見の水場から急なジグザグ道を5分で、天狗の硯岩に到着。一休み。ここで下山してきた人2人目と3人目の人と出会った。
この辺りからは笹が多くなってきて、笹の中の急坂を登る。
天狗の硯岩からの笹藪の中の道を進むと、七合目の標識が出てきて、眺めは良くなってきた。更に進むとまた霜柱の道をザックザックと踏み潰す。標高は1774mまで登ってきた。あと200m弱登らなければならない。
標高1800mの標識が登山道の脇に見えた。そしてその直後に戸隠の中社からの登山道との分岐地点に達した。天狗の硯岩から25分経過した。ここまで来ると森林限界を超えるので、景色が良くなった。北アルプスの北部白馬から南部の槍穂高方面まで良い眺めだ。
分岐地点からは、最後の急登となり笹藪と石がゴロゴロ出ている登山道を登る。登山道の真ん中に大きな残雪の塊があり、どうしても雪の上を歩かなければならない。
真ん中を歩いた人も居れば、端の木の枝が掴める辺りを通る人も居た。
そこを過ぎると南峰直下の飯綱神社の祠だ。
8:05南峰到着。
登山口から1時間40分かかった。
南峰から頂上を見ると、尾根道はずっと雪があり、そこを歩くようだ。
頂上には人の気配は無く、頂上に続く登山道にも人影が無かった。
天狗の硯岩から分岐地点までの間に2人の下山者に会った。
これまでに5人が下山したことになる。早い人は早いんだと感心する。
頂上に向かうには一旦最低鞍部まで下り、そして最後の緩やかな斜面を登ると頂上だ。
天気も良く、固まった雪上は快適だ。時々滑るが特に危険を感じることは無い。ただ、所々雪が途切れるところは、凍っていたところが溶け始めどろんこ道になっていて、グチャグチャだ。雪道の方がよっぽど良い。
8:15頂上に到着! 360度の素晴らしい景色!久しぶりだ。そして誰もいない。頂上独り占めだ! 15分くらい遅れて、同じ頃出発したおじさんが到着した。
2年ぶりの頂上。あのときは孫と初めてで、天気が悪く霧の中で視界はゼロ、辺りが何も見えなく、孫には残念な登山だった。この素晴らしい360度広がる風景を見せてやりたい。幸い孫もまた登りたいと言っているので、この夏休みには再度挑戦したい。
西側を見ると、戸隠連山が聳え、その後には北アルプス後立山連峰の山々が、まだ沢山の残雪を纏ったままだ。
西側から少し右に目を遣ると、戸隠連山の最高峰高妻山が、長野市街地から見える三角錐とは違い、高妻山に連なる乙妻山と一体になった台形に見える。
南方向から東方向を見ると、長野市街地だろうが雲海が広がりその下に有るのだろう。飯綱のため池が幾つか見えている。遠くには八ヶ岳の連山が薄ら見える。
西側から南に見ていくと戸隠連山の端の山々と北アルプスの南部の槍穂高方面が見える。
南東から東方面をみると、相変わらずの雲海が広がり、その上に頭を出している山は、北信五岳の一つ斑尾山。遠くには志賀高原の山々だ。
北側を見ると、すぐ近くに北信五岳の黒姫山、重なるように上部だけ妙高山。右には遠く日本海が見えるが、この日は霞んでいてはっきりしなかった。
北側から左へ目を移していくと見ると、黒姫山、妙高山。左には頸城山群の火打山、新潟焼山、それに連なるように乙妻山、高妻山が見える。
頂上から10分、南峰のすぐ脇の長野市内を見下ろせる所に飯綱神社本殿がある。ここまでの登山のお礼とこの先の無事をお願いし下山にかかる。頂上方面を見ると後続の登山者の姿が見えた。さあ下山だ!今度は景色はふり返らずに見られるが、足下を良く見ながら歩くので、景色は足を止めないとみれない。気をつけて下ろう。
下山は、一気に下りてきて、中社分岐、天狗の硯岩、駒つなぎの場と時間確認のみで休まず登山口まで下りた。駒つなぎの場から下では、尾根道が登りの時より緩やかな感じで、走るように軽やかに駆け下りる感じだった。
途中、これから登るという人達が何組か登って来て、すれ違って行った。
第九 勢至菩薩 標高1467m
9:50無事登山口に到着。ここを6:25に出発して3時間半無事に下山した。数えてみると、この日の登山者で6番目の登山者だった。
登山口辺りは標高が1200m位で、芽吹きが始まったばかり薄黄緑色が綺麗だ。そこから数百m登ると、まだ氷や雪の世界が広がる。
登山や屋外ですることはこの季節が一番だ。
70歳の登山が無事終了。今夏は、孫と再びここを登ることが楽しみになって来た。