近くの河岸段丘の沢から流れ出す湧き水がある。
夏は、段丘の斜面に生えている雑木林の葉が生い茂り、湧き水が流れる瀬音が心地良い涼しい場所だが、今は葉が落ちて林を吹き抜ける空っ風が冷たい。
湧き水は年中水温が一定だと言うから冬は温かく感じるのだろうが、空っ風の冷たさを感じると水面に手を出すのをためらってしまう。
もう少しすれば、”水温む”という季節を感じられるだろう。

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2022 26 February. tama

2月も寒い

今年の2月は1月に引き続き寒い。この辺りの2月の日平均気温が5℃を超えた日は数日しか無く、最高気温は12.1℃だ。寒いわけだ。立春は過ぎたとは言え2月はまだまだ寒中と言ったところだ。
寒中と言えば、子供の頃は2月の初め頃、寒中休みという1週間くらいの間学校が休みになった。まあ、もう数十年前だから気温も今のようではなく低く、雪も1m位は積もる頃だったからだ。
2月は私の生まれ月でもある。母親が存命の頃、誕生日になるとよく言っていた。「おまえが生まれた年は、うんとさぶくて毎日毎日雪が降って、おしめが乾かなくて困ったもんだった」と。そんな時生まれたからか分らないが、寒さに対してはこの歳になっても意外と立ち向かって行ける。

2月になり、南岸低気圧が周期的に通過するようになってきて、雨だったり雪だったりの日が多くなってきた。と言うことは、春が近づいて来ていることだ。二十四節気の春の訪れを現わす立春、雨水も遣ってきた。

1月には見られなかった丹沢山系の山々が、2月の半ばになって白い雪を頂く姿になった。毎年そうだがこの頃になるとこんな光景が見られる。富士山は相変わらず真っ白な綺麗な姿を見せている。

そろそろ春が近いと想う頃に山には雪が見られるなんて、と…思い起こせば、数日前の午後になると陽が陰ってきて雲が広がり、その雲は普通の雲とは違い、自分では「雪雲の残り」と呼んでいる。
雪国で大雪の時にこの辺りまで流れ込んできて、フワフワッと雪が舞っているようになる雲が広がった。こんな雲が現れた後には丹沢山系辺りが白くなっている。それだけ寒気がこの辺りまで遣ってきたと言うことだ。

2月ともなれば、寒い寒いと言っていても、周囲を見渡せばそこここに何かしら春の気配を感じる頃でもある。
日の出前の南東の低空に見えている金星、明けの明星だ。13日に最大光度となり、このころは昼間の青空の中でも金星を見つけやすくなると言うくらいの明るさだ…でも昼間は見たことが無い。

公園の草むらや道端でも春の気配は感じられる。南向きの日だまりの斜面を良く見るとタンポポやオオイヌノフグリがポツンと咲いている。もう少し暖かくなればやたらに沢山の小さな紫の花を咲かせるが、今は昨年の枯れ草の陰に一つふたつとしか見えないオオイヌノフグリ。
梅も咲き始めた。種類によるのだろうが既に花が枯れて散り始めている紅梅。今よく目にする梅は白梅だ。名前は知らないが孫が通う小学校の庭先にびっしり花を咲かせている梅。公園の梅は蕾がいっぱいで、咲いているのは一つだけ。

石畳の遊歩道を歩けば、脇の枯れ草の間に春を告げる花が咲いている。ここに咲いている菜花やスイセンはすぐに目にとまるが、クロッカスはちょっと分かりにくい。
針葉樹の松の葉のような細い葉っぱが何本もあるのだが、まだあまり伸びていなく目立たなく、花自体もちょっと小さく枯れ草の間では見つけにくい。

近所を散歩すると、けっこう田舎だなぁ〜という感じ、やっぱり埼玉県。でも、すぐ隣は東京都、東京都でも練馬区だからこんな風景は当たり前。住宅地のすぐ裏側は黒々した土色が広がる。もう収穫が終わった畑に少し残された寒さ除けのビニールで覆われた畝が数本白く光っている。一畝だけ掘り起こされた跡のようで、葉っぱが枯れて散らばり、不作だった大根が取り残されている。
そんな畑の脇に老人と犬が日向ぼっこ。老人はパイプを咥えて燻らせていた。何かアンバランスな景色だったが、もう春間近という感じはいっぱいだった。

日の出の位置は、ちょっと見ない間に東京スカイツリーを超えて北へどんどん移動している。日の出時刻も早い時間になってきた。日中の陽射しは明るくなり、太陽高度も高くなっていて、一時期は部屋の中程まで射し込んでいた陽射しも日に日に後退し、もうじき部屋の中へ陽射しが入らなくなる。

日の入りの時間はずいぶん遅くなってきて、日が延びたなぁ〜と感じる。それと共に日の出同様に日が沈む位置がどんどん北に移っていって、建物の関係で我が家のベランダから日没の太陽を見ることがあと数日で出来なくなる。今度見られるのは秋から冬になる頃だろう。

こうした自然の営みの中で、もう少しで春を迎える。今冬の寒さは誰もが口にするので、本当に寒かったのだと思う。やっぱり2月も寒かった。
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