過ぎゆく春 そして緑の季節
今年のサクラは、3月半ばに開花が報じられたけれど、この辺りはそれより数日遅く、場所によって少しずつ咲き始め、月末までには満開になって散り始めた。
3月は気温が高く、サクラも早かったが、4月に入って寒の戻りみたいな寒い日もあり、4月初旬になって今年のさくらは終わり、散り残りの花びらが、ときおり風にのって舞い降りてくるようになった。
花の散った後には赤い蘂が残って、それもやがて散って、花びらはピンクで地面を彩ったが、蘂は赤く染めた。
サクラが終わると、桜の木はもちろんだが、周囲の樹木が一斉に芽吹き始め、他の花が咲き始めた。
このころの芽吹き、新緑の勢いは凄い!黒い枝だったのが、数日見ないうちに黄緑色がポツポツ見えたかと思っていると、1〜2日で黒い枝が隠れてしまうほど新緑に覆われてしまった。
サクラのトンネルだった道路は、今は新緑のトンネルに変わった。まだ葉っぱは少なく小さいトンネルを通過すれば、木陰を通して明るい陽射しが射し込んでくる。
このトンネルも新緑から少しずつ濃い緑色に変わって、やがて鬱蒼としたトンネルになり、ほとんど陽射しを遮るようになる。
公園やこの辺りを歩いてみると、色とりどりの花が見られる。街路樹ではツツジが多い。
公園のフジ棚や通りの庭先に薄紫色のフジが咲き始めた。
散歩道やちょっとした空き地、何処でも目に入るのがタンポポ。今を盛りといっぱいに花を咲かせている。もう綿毛になっているものもあり、幼子が手にしてフッと息を吐きかけても、なかなか飛んでくれない・・・そんな光景も見える。
今の時季、歩いていて緑の中にハッと目を見張るものがハナミズキの他にもある。コデマリだ。遠目に見ると、緑の葉っぱが生い茂る上に、雪でも降ったのかと思わせる真っ白な毬のような花を沢山付けている。
モネフィラは、薄青色の花を綺麗に咲かせていた。モネフィラはやっぱりひたち海浜公園が一番のようだ。
地面にびっしり花を咲かせている小さな花もこの時季いっぱいだ。ムラサキサギゴケ、ヘビイチゴ、チューリップ。
前にも書いたが、植物の命名の仕方のいい加減さ?苔類でも無いのにムラサキサギゴケ・・・地面を這うように横枝を出すのが苔のようだからだという。
ヘビイチゴも変だ。ヘビが食べるイチゴ?ヘビがいそうな所に生育するから?イチゴを食べに来る小動物をヘビが狙うから?などなど。
やっぱり命名の仕方一つで、本来想像もつかない名前になってしまう。本当にヘビがイチゴを食べるなんて信じてしまうかも知れない。
4月の後半になってくると、萌えてきた新芽若葉も少しずつ葉数が増え、色も濃くなってきた。街路樹は葉っぱが沢山出てきて鬱蒼となってきた。
公園のフジ棚に近づいていくと、フジの良い香りが漂ってくる。
フジの蔓に黄緑色が少し付いていたのは半月前。
花は、棚桁の間に咲いているので、あまり目立たない。
花が終わると、ソラマメのような大きなサヤが出来る。
道端の柿の木の新葉っぱは、陽の光にピカピカに輝いていた。
散歩道脇には、春の雑草としてそこらじゅうで見られるハルジオンが花を咲かせていた。
如何にも雑草という感じだが、一つをじっくり見ると白ばかりでなく、薄ピンクの花もある。
広々した緑の原っぱに、ところどころに白い塊が幾つか見えた。
何かと見れば、オオアマナが群生している。
近くの河岸段丘が雑木林になっている。
広葉樹林で冬の間は、黒い幹が立っているだけだったが、春先から新芽が出始め、今では日中の良い天気でも薄暗いくらいに鬱蒼とした林になっている。
林を歩けば、葉陰から木漏れ日が所々に射し込んで、そこだけが明るい。
ふと見上げたら、新緑が青空に映えて美しかった。
この林には、カタクリ、イチリンソウ、ニリンソウが生えていて、少し前まで咲いていた。8月お盆の頃にはキツネノカミソリが開花する。