源流

白子川は、毎日通る学園通りに架かる学園橋の下を流れている。この辺りは、大泉学園町と東大泉の境いだ。
地図で見ると、この川の源流は、隣町の南大泉にあり、そこを知っている人たちに話しを聞くと公園になっていて、そこから流れ出ているという。
そんな近いところにあるが、行ったことが無かったので、どんなところか行ってみた。
この川、学園橋辺りで見ていると、大雨が降ってもそれほど水位は上がらず、川の半分程度までしか上がらない。やはり、源流が近いからだろう。

まず、学園橋から源流を目指す。

学園橋から、川の右側の歩道を歩き始める。東西橋を過ぎると、臭いがしてきた。この臭いは仕事の行き帰りでも時々臭ってくるので、あっ「小泉牧場」のだ!と分かる。牧舎には何頭かの乳牛がいた。
次は中島橋。
雨の時季だが、水はちょろちょろ、川の中は草ボウボウだ。
数本の橋を過ぎると、西武池袋線の線路だ。ここは川の脇を通ることができないので、踏切まで行ってまた川縁に戻って遡っていく。

学園橋を出てから、川の両側に住宅が建ち並んでいる川沿いの道を来たが、いつの間にか、川から住宅が離れて畑が見えてきた。
畑にいたおばあさんに、白子川の源流はまだですか?と聞くと、そこだよ!と、やっぱり草ボウボウの川を指して教えてくれた。
40年前は、こんなふうにコンクリートで固めてなく、自然で良いとこだったと、蛍も飛んでいたと話してくれた。

白子川の源流と言うか、ここには上流起点と書かれていて「七福橋」がそこになっていた。
七福橋の金網に取りつけられている青いブリキ?板には白字で「一級河川・白子川・上流起点」と書いて表示されていた。
上流起点の表現は、白子川はこの七福橋から始まるという意味のようだ。

しかし、これより上流からも水が流れていた形跡は残っていて、川に蓋をしてしまったようだ。

源流と言うと、いかにも山奥のそのまた奥の沢筋を上り詰めた辺りから、ちょろちょろ湧き水が出てきて、やがて幾つもの川からの流れが大河になっていく、そんな水源を連想するが、今回は街中の源流を見てきた。
近くを流れる白子川と黒目川に流れ込む妙音沢の湧き水だ。

白子川の源流起点は大泉井頭公園内の七福橋。ここから多くの湧水を集め、和光市・板橋区を流れ、新河岸川に合流する全長10kmの一級河川で、新河岸川から荒川・隅田川を経て東京湾へ流れ込む。

この源流辺りは、すっかり整備され、湿地帯にあった溜池は、大泉井頭公園として整備され、子供達や家族連れが遊んでいた。
ここでは、水草や水生生物が見られ、沢山のアメンボが水面をスーイスーイと滑っていた。

公園には、登録文化財のねりまの名木「マルバヤナギ」が植えられている。木の高さ9m、根元の太さ2.2m。練馬区指定天然記念物・井頭のヤナギ(二株)という練馬区教育委員会の掲示標も立っている。
2018 .Jun.24  tama
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妙音沢は、我が家から徒歩で10分ほどで黒目川の河岸段丘の上まで行くことができる。その河岸段丘にできている遊歩道の階段を降りていくと、下りたところが妙音沢だ。

妙音沢は、黒目川に注ぐまでの流れは100m程でプラナリア、サワガニ、ヘビトンボ等、きれいな水にしか生息しない生物も見ることができる。環境省が所管する「平成の名水百選」に選定された。名水に選定されているとは言っても、飲料水としては適していない。水量は結構豊富で、水温は年間ほぼ一定して15度前後だそうだ。

黒目川の右岸段丘の雑木林内の妙音沢から流れ出た水は、黒目川へ流れ込む。
黒目川(くろめがわ)は、東久留米市と東村山市、小平市の境界に位置する小平霊園内の「さいかち窪」に源を発し、東京都および埼玉県を流れる一級河川で、朝霞市で新河岸川へ合流し荒川へ流れ込む荒川水系の支流だ。

江戸時代に滝見の参道や茶屋が存在していたと伝えられるほか、この沢で信仰深い盲目の琵琶法師が弁財天から琵琶の秘曲を授かったという。この伝説が妙音沢の名前の由来だと言われているようだ。

江戸時代に滝見とあるが、今の妙音沢では、そんな光景は想像できない。この滝見というのは、黒目川へ流れ込む辺りが滝にでもなっていたのではないだろうか。

今回は、身近に流れている川の源流はどこか?と探してみた。でも、これが本当に源流なの?と言うような感じだ。都会での源流は、こんな風なのかもしれない。
今回の2本の川は、奇しくも途中で新河岸川に合流し荒川を経て東京湾へとつながっていた。

やっぱり、山国で育った自分にとっては、川の源流といえば山を分け入った沢筋から出てくる源泉が思い浮かぶ。そんな水は、手ですくって飲むと冷たく素晴らしくおいしい水なのだ。
昔、水道がまだ整備されていない頃、井戸水や川の水を飲むときは、お腹をこわすから良く噛んで飲めと祖母が言っていた。
妙音沢のように、湧き出していて名水だと言っても飲めない様では、なんとなく湧き水という感じがしない。

妙音沢に降りていく河岸段丘は、緑地になっていて、コナラ・エゴノキ・イヌシデ等を主体に構成されている斜面雑木林で、豊かな湧水と共に、カタクリ・イチリンソウ等、約400種の植物が自生している。
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