10月初めの飯綱の森は、まだまだ緑が多く紅葉には早く、やっと秋がおとずれ始めたところだ。
日中は気温が上がったが、飯綱小屋では17℃と過ごしやすい。翌朝は7℃まで下がり、少し厚着をしないと寒い感じだった。
でも、高原の秋は短い、これからは朝晩と日中の気温差が大きくなって、木々の葉っぱは活動を休止して紅葉が始まる。
緑の森の中に、たまたま色づいた葉っぱを見つけるとハッとする。
もう少し紅葉が進めば何でも無いことが、まだ全体的に見ると緑色が多くを占める森の中では、すごく目だって見えるからだ。それも、陽が当たろうものならその葉っぱだけが輝くように見える。
森の秋は紅葉だけではない。
短い夏の間に花を咲かせ、実を付けるのも秋だ。
木の実や花の実があちこちで見られる。結実は子孫を残すことなので、木々や草花は必死なんだろう。
栗の実は、イガイガをぱっくり口を開けて実を地面に弾けだし、食べられないキノコもニョキニョキいっぱい顔を出していた。
山の高いところに朝陽があたり始めると、今までは、くすんだ色に見えていた山肌が、赤く輝き始める。
格好良く言えばモルゲンロート、朝焼けだ。
でも、モルゲンロートと呼ぶにはちょっと迫力が無いので、朝焼けといった方が良いのかもしれないが、そんな山肌も湖面に映るとなかなかいい感じに見える。
標高が高くなるとかなり紅葉が進んでいる様子が朝陽に照らされることで、良く分かって見える。
岩肌にへばり付いている木々が、朝陽を浴びて紅葉が引き立ってくるのだ。もう少し紅葉・黄葉が進むと紅・黄が色鮮やかになり、岩肌とのコントラストが美しく輝くことだろう。
池の周りの紅葉・黄葉は始まったばかりで、あまり馴染んでいない感じがする。
季節は移ろい、毎年訪れる秋。厳しい冬だったり、激しく変わる春の嵐だったり、夏の猛暑・酷暑や豪雨など、最近の気候はどうなっているのだろう、果たして秋はどんな天候になるんだろう、などと心配をしていた。
でも、秋はちゃんとおとずれ、いつもの年と同じく、朝晩の気温が下がって、日中との気温差が大きくなり鮮やかな紅葉・黄葉が始まった。
1年の気候が変わってきているからと、心配していてもそれはそれなりの各季節が遣ってくるので、我々がちっとも心配する必要などないのだ。
この世界は、生滅変化を繰り返し、常なるところはない。見たり、聞いたり、匂ったり、肌に感じたりすることで季節を知るのだ。秋のおとずれも・・・。