台風の後始末と小さな秋を探して

今年は、秋が無くて夏から冬へ一っ飛びという感じの季節の移り変わりだ。
そんなせいなのか、10月の前半は夏のような暑さが訪れたり、後半は台風が毎週のように遣って来て、沢山の被害を各地にもたらした。
さらに季節はずれ?の猛烈な台風30号は、フィリピンの大きな被害をもたらした。若い頃仕事で行ったレイテ島のタクロバンが最も大きな被害にあったようだ。
我が家の飯綱小屋でも台風26号による被害があり、現地から連絡は来たものの、すぐには行くことが出来ず、この頃になって漸く行って見て来た。

小屋へ通じる道路に倒木があったとか、かなり風が強かったようで、小屋の近くの一の鳥居から、良く行く蕎麦処の「大久保の茶屋」へ通じる戸隠古道も倒木で塞がれてしまい、戸隠レンジャーが出動して倒木の処理をしたそうだ。
飯綱小屋で一番大きかった被害は、倒木によって電気の引き込み電線が切られたことだ。その他は、樹木の枝がかなり折れて落ちていたりした。そんな枝を拾ったり、周囲の倒れそうな木を切り倒したりと片づけをしてきた。
既に山小屋辺りは紅葉・黄葉が終わってしまったが、そこいらにまだ残っている山の秋を探したり、平地ではまだまだ色づいた木々が見れたので、紅葉も見たり、実家によってりんごをもらってきた。

中部電力から10月16日朝8時に電話があり、庭の真ん中にあった白樺が倒れ
電灯の引込み線を直撃・切断したと。
「敷地内は持ち主の修理になるので、業者に頼んで修理して下さい。それまでは電気を止めて置きます」との事。
早速、小屋を建ててくれた業者さんへ連絡し、30分後には木の始末(切り倒し)はした、と連絡をもらった。

本線の分岐から約30mの長さの引込み線の中ほどに、木が倒れ掛かった勢いで電線を切断し、軒先の固定していた金具、小屋の外壁に固定して引き下ろした電線、積算電力計まで引き剥がした。
工事を小屋を建ててくれた業者さんにお願いして、その数日後には電気は復旧して、元通りになっと連絡をもらった。
今回倒れた白樺の木は、根元の直径が25数cmで、高さは約15mだ。夏に行った時に葉っぱが全く付いていなく、もう寿命かな?と思っていた。枯れたなら早めに切り倒さないと小屋側にでも倒れたら厄介だと思っていた。台風の風向きが、幸い小屋側に倒れないように吹いてくれたようだ。
因みに、白樺の寿命は一般的に60年から80年と言われており、木としては短いほうらしい。
敷地内には、まだ倒れそうな木が数本あったので、自分で処理できるものについては今回数本切り倒したり、押し倒してきた。
台風で倒れた木にしても、枯れたようになっている木でも、切って見ると幹自体は結構水分を含んでいて、切るのに時間がかかった。チェーンソウなる現代的な工具はなく、昔ながらの腰鋸なのだ。でも切れ味はなかなかなもので、お気に入り。
切り倒した木は、ある程度の長さに切って乾燥させて置くことにした。
他にも枯れ枝や、折れて落ちてきた枝が敷地内に散乱していたので、拾い集め焚き火をした。流石に標高1,000mを超しているだけあって、陽射しがあっても冷んやりするので、焚き火はちょうどよく気持ちが良かった。
山小屋辺りを見回すと、すっかり樹木の葉っぱは落ちて樹林の間を透かして、今まで見えなかった周囲が見えるようになっていた。
山では、短い期間だが雪解けが終わり芽吹きが始まる5月から7、8月は、葉っぱが覆い茂り薄暗い感じにさえなるが、今はそんな面影もない。春から夏のあの樹木の勢いはどこへ行ってしまったかというほどだ。

そんな樹林間や地面を良く見ると、名残の秋といった感じの紅葉の葉や子孫を残そうとする実が弾けんばかりになっている。唐松林の道は、黄色い絨毯を敷き詰めたようになり、朝一番の車が通ると唐松の葉が舞い上がり轍が黒いアスファルトに変わる

山から下りて、実家に向かった。実家の近くの清水寺のもみじの紅葉は、毎年のように行って見ているが、ずいぶん綺麗だったので、どうかと思い寄ってみた。
時期的には、少し早いような気がしたが、それでも綺麗な紅葉が見れた。
清水寺裏の太郎山の中腹にある、観音堂へ続く石段の参道脇に、見事なもみじが真っ赤に紅葉していた。でも、今年は天候のせいでか?時期的に早いからか分からないが、やや色づきが悪いような気がした。

清水寺から5分ほどで実家だ。
実家では、92歳になる母親が相変わらず縁側の椅子に座り本を読みながら私が来るのを待っていた。まだまだ元気だ。
さっそく、先日の台風で落ちてしまったというりんごをむいてくれて、ちょっと早いけれど蜜ものってうんまいぞ、と。
なるほど、ちょっと酸味がある甘いフジがとても美味しかった。

りんご畑を見ると、真っ赤に染まった大きなりんごがたわわに生っている。
それを狙ってサルが出没するそうで、サルに食べられるなら少し早めでも、もう美味しいから採っていけという。
この辺りでは、最近サルが家の軒先まで来ると言う。
先日も庭に落花生を干しておいて、いつも母親が縁側に居るが、昼食で奥に行って戻ってくると、庭先で2匹のサルが落花生を食べていたとか。
今、田舎では柿やりんごが色づいて美味しくなっている。

今回、台風によって小屋に被害が出たという連絡を受けた時には、どんなに?と思ったが、良く聞いてみると、起こるべきことが起こったんだと。そしてすぐに業者さんが一次対応をしてくれたので助かった。

後は自分が行って後始末をすれば良い、そんな気で次の週に行くことにしていたが、次の台風で結局行けなくなり、今頃になった。
それでも、この時季もうすぐこの辺りは雪になるので、小屋の周囲の片付けと、冬越しの支度もしたかったのでちょうど良かった。

北信濃、平地の長野市街地では、まだ晩秋という感じだが、小屋がある飯綱・戸隠では紅葉も終わりかけ枯れ始めて初冬だ。
戸隠山、飯綱山では10月18日に初冠雪を見ており、小屋の辺りももうすぐ雪景色に変わるだろう。

蕎麦畑は刈った後が残り、地面は霜柱が土を押し上げていて、畑に足を踏み込むと、ガサ ザクザクと心地よい足応えだ。
畑にに生えている草は、霜によって凍ったように表面に氷が付いている。

枯れた様な木々でも、見ればハッとするような紅葉が残っていたり、枯れ落ちた葉っぱがなくなり透かしてみる向こうに赤いものが見えるので行って見ると、マユミの実が、もう色褪せるばかりになっていたり、枯葉が地面いっぱい広がっている中に、真っ赤な実がポツンとツルリンドウだ。

もう初冬の山だが、小さな秋が殺風景になってきた景色をまだまだと引き立てていた。

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2013  Nov. 21   tama
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