梅雨が明けないとはいえ、晴れればもう真夏の強い陽射しが照りつける。幸いこの地を訪れた何日間は、その強い陽射しのいい天気に恵まれた。
朝夕の気温は15℃前後で日中も20℃前後で過ごしやすい天候だった。こんな天気の日、長野市街地は30℃を超えるような暑さであろう。ただ、日陰に入ればスッとする暑さだ。
ここに滞在した数日間、早朝の森林植物園にも足を運んだ。しばらくぶりの鳥見もした。誰も居なく出会った人は、森林植物園を守るレンジャーの人たった一人。これも珍しかった。しばらく森の野鳥のことを聞いたが、例の赤い鳥については聞かなかった。例年この鳥については、いろいろな話題になって、あの悲しげな鳴き声がよみがえる。
この数年は、なかなか来る回数が少なく、年に2〜3回しか来れなかったが、また少し足繁く通いたい。
もう、CFの影響もなくなっただろうし、夏の戸隠は涼しいので、やはり足を運びたくなる。最近は、それほど敏感に感じなくなってしまったが、以前は長野市街地から来ると、それはそれは別天地だったように思う。
久々の鏡池は、風もなく湖面は名前の通り鏡のように、周囲の景色を映していた。季節柄、荒々しい戸隠山はガスに覆われて、見え隠れして全貌を見せてくれなかった。
まだ誰も居ない池のほとりで、ガスの合間から時折見える山容を眺め、あの辺りに西岳、あそこは八方睨みと、晴れている時の山の形を思い起こしてみた。
早朝の静かな湖畔のモミの木の天辺で、到着前からずっと囀り続けているホオジロ。人の気配を感じているのか知らないが、車から降りて木の下を歩いても、我関せずといった感じで、さえずり続けて、そこを去る時もそのまま囀り続けていた。
もう、あのうるさいほど一声に鳴き出すエゾハルゼミは終わり、今はクマゼミだろうか?時折セミの鳴き声も聞こえる。でも、早朝は何故かあまりセミは鳴かない。まあ、それのほうがいいけれどね。
エゾハルゼミもそうだったが、山のセミはずいぶん高いところで鳴いているので、その姿を見るのは、至難の業だ。それに引き換え、里で鳴くニイニイゼミ、アブラゼミ、ミンミンゼミなどは低いところに止まっているので、見つけやすいし、手で捕まえることだって出来る。この辺の違いはどうしてなのだろう?
早朝の森は静かだ。この辺りを縄張りにしているウグイスは、昨年頃から少し山際へ移動したのか、あまり近くでは鳴かなくなった。キビタキは、今年も小屋のすぐ脇まで遣って来る。そんな野鳥の囀りを近くに遠くに聞きながら佇む。
朝日が、木々の隙間からキラキラ。高く伸びた木々を見上げていると、それほど風がないのにサワサワと葉が揺れていた。そんな音に耳を傾けながら、このサワサワ揺れる音が写真に写ればいいなぁ〜と。
このウツボグサも、もうすぐ終わり、来月ぐらいに行くと、次は名前が分からないが、バライチゴがいっぱいになっているはずだ。
先月行った時には、新しい葉っぱが出揃ったと言う感じで、森の下草もやはりこれから伸びるんだぞ!と、まだまだ初々しい時だった。
小屋の前の庭というか、空き地にはスミレが何本か咲き、黄色い小さな花がチラホラ咲いていただけだったが、今は、背丈が30cm近くまで伸びたウツボグサが一面ムラサキ色の花を咲き誇っている。全くうその様だ。
梅雨も後半、九州では梅雨末期の集中豪雨で大きな被害が出たが、東日本は空梅雨のようで、ほとんど梅雨の中休みのような天気が続いていた。蒸し暑い都会を離れて、一息入れようと飯綱の森へ向かった。
森は、すっかり成長し、若葉だった木々も濃い緑色の葉っぱになり、もう強い夏の陽射しにも耐えられるようになっていた。
梅雨の中休みの森