執念の石

武田信玄(左)・上杉謙信(右)一騎討像

夏涼みの森

一昨年の猛暑には適わない様だけれど、それに負けないような暑さが続く今夏。
この暑さ、湿度が高く体に暑さがまとわり付くような暑さが、梅雨明けから続いていた。お盆が過ぎれば、昔は秋風が吹き、少しは過ごしやすくなったものだが、近年はそれどころではなく、暑さがエスカレートしている。

それでも、このところ、空が高くなってすっきりした青空に、もくもくと入道雲がわき上がる光景が多くなり、暑さもあのじっとり、まとわり付く暑さから、カラッとまでは行かないが、熱いという感じの昔の暑さになってきた。

そんな中、職場では夏休みを3日間どうぞ、というので、久々に、夏涼みをしに、信州へ行ってみた。
平日だったので、道路も混雑せず快適なドライブだった。自宅を出た時は、気温が既に30℃を超えていて、さらに進むと埼玉内陸部、群馬県では35℃超え。関越道から上信越道へ分岐して横川でも33℃。上信県境の長いトンネルを抜けると、気温はやや下がり28℃、標高が1,000m近くになったからだろう。

上信越道を降りて、千曲川を渡ると川中島だ。昼の時間が過ぎていたが、妻はお昼を我慢して、おぎの屋の「峠の釜飯」を食べたいと言っていたので、ここで昼食。前は、横川でしか食べられなかったが、最近は川中島に支店ができ、ちょくちょく利用している。何と言っても妻が、釜飯ファンなのだ。
腹ごしらえが出来たので、出発!この店の隣は、川中島の合戦が行われたと言う、古戦場なのだ。
いつも通るが、寄ったことがないので、ちょっと寄り道。子どものころ、来た記憶があるが、何もなく木製の柱に古戦場と書いてあったような気がする。今は、観光名所?結構団体客など見かける。

川中島の戦いは、甲斐の武田信玄と越後の上杉謙信との間で、北信濃の支配権を巡って行われた数次の戦いだ。戦いは計5回、12年余りにおよび、最大の激戦となった第四次の戦いが千曲川と犀川が合流する三角状の平坦地である川中島を中心に行われたことから、その他の場所で行われた戦いも総称として川中島の戦いと呼ばれているようだ。
子どもの頃の記憶も当てにはならないが、こんなものがあったのか?と言う感じで、一回り。
武田信玄と上杉謙信の一騎討像や合戦図、神社、槍で石を突き通したという執念の石というものがあった。

長野市街地に入り温度計を見ると35℃、熱い!でも、ここは信州、日陰に入れば心地良い風が涼しい。
市街地を抜けて、長野市内を一望できる遊覧道路を登り、七曲りがある急な沢筋の道路に差し掛かると、気温が30℃くらいまで、一気に下がった。沢を川が流れているせいもあるだろう。

ところが、七曲りをどんどん上っていくと、また気温が上がり始めた。やはり、七曲りの上り口付近は、沢の底で脇を川が流れているせいで、ひんやりしていたのだろう。
七曲りを終えて、バードラインに出ると、こんどは標高が高くなってきているので、気温はそれほど高くはならない。29℃、28℃と少しずつ下がって、大座法師池に到着。標高は1000mを超した。

この「大座法師池」は、はるか昔、巨人のデーダラ法師(ダイダラボッチ)が飯縄山に腰を下ろし、一歩足を踏み出したときの足跡に水が溜まってできた池、だと伝えられているそうだ。

大座法師池から10分ほどで、標高で約200m上り飯綱小屋に着いた。
気温は?どうかと見ると、27℃。考えていたほど低くはなかったが、森の中と言うこともあり、ひんやりした。

一般に、標高が上がると0.65℃/100mで気温が低下するというが、乾いた空気の場合は1℃/100mなので、今は、暑くて乾いているのかな?まあ、ここの標高なりに気温が下がっているようだ。
下の市街地では35℃、ここでは27℃、やっぱり涼しい!
都会で27℃と言うと、暑い感じだが、ここではひんやりして気持ち良い。
いつもそうだが、小屋へ着くと、見るからに、誰も住んでいないと言う感じの草ぼうぼう状態。まあ、これはなるべくそのままにしておくという、初めからの考え方だ。

とは言え、久しぶりに訪れたのだから、多少の手入れはしなければならない。

そこで、一働きすることにした。
まずは小屋の中の掃除だ。久々に来るので、まずは掃除機でゴミを吸い込み、と言っても、ほとんどゴミなど無い。そして床の雑巾がけをする。この雑巾がけも、汚れているわけではないが、儀式のようなもので、毎回着いた時と、帰るときはやるのだ。

妻はといえば、食事の下準備を始める。妻は食いしん坊なので、手早く料理をしたり、アイデア料理を作ってくれるので、私としては、とても助かる。
いつもそうだが、今回もここの主?カマドウマが、お勝手の流しや洗面所に居た。水場が好きなようだ。カマドウマも、家主が来たので遠慮したのか、姿を消す。でも、良く見ると洗面所の上の方の壁に居たりする。まあ、ヤモリのようなものだ。
小屋の中の掃除をしたら、結構汗をかいた。それじゃあ、ついでに入口付近の草刈もと、もう一汗をかいて、この日は終了。

翌日の午後は、ベランダ前の庭?は、前回7月に来た時には、ウツボグサがいっぱい咲いていたが、今はウツボグサが枯れた花を付けた茎だけが目立った。
その周りには、棘のあるバライチゴ系の草がびっしり生えてきていた。ここはウツボグサと共に、根こそぎ取ってしまおう、と草カキで一掃した。

さて、来年はウツボグサが咲くだろうか?たぶん、またびっしり花を咲かせるんだろう・・・。
一昨年植えたブルーベリー、昨年は数十個の実を色づかせたが、今年は様子がおかしい。既に7月末頃、早いものは色づいたが鳥に食べられたようで、今回は数粒が食べ頃になっていただけで、まだ青い実がたくさん付いていた。これは、気候のせいなのか、標高の低いところで育てていたものを高いところへ持ってきて植えたせいか、そのへんが分からない。
翌日は、早起きをして、近くの風景を見に行ってきた。
早朝は、どのくらいまで気温が下がるか?と温度計を外に出して見ると、18℃だった。
半袖では、ちょっと涼しいかな?っていう感じで気持ち良い。
車で10分、そば畑と勝手に名づけたアルプス展望台へ行ってみた。
朝陽が戸隠連峰に当たり、普段でも険しく見える山肌が、光と影により一層起伏をみせて険しさを増していた。
そば畑には、まだ陽が当たっていなく、ひっそりとしていた。
もう30cmほどに伸びた秋そば?は、来月の半ば頃には、白い花を咲かせるのではないだろうか。

2段になっているそば畑のわき道を上がって行くと、勝手に名づけたアルプス展望台の名前の通り、北アルプスが眺められる。
すぐ近くには、北部の白馬三山・本峰・杓子・鑓、そこから左へ不帰の剣、唐松岳、五龍岳、双峰の鹿島槍が望めた。今は残雪が一番少ない時季だが、沢筋には白いものが幾条も見られ、涼しさを届けてくれるようだ。
また、遠方には3000m級の穂高連峰や一際高く天を突くように聳える槍ヶ岳が見えた。こうして眺めると、若き日にこの見える範囲の山々には何度か登ったり、山頂は踏まず、ロッククライミングだけに行った山など、思い出される。

アルプス展望台からの眺めを堪能したが、早朝に眺めたいもう一つの場所に「鏡池」がある。ここは、鏡のように、滑らかな湖面に、さざ波が立つ前にゴツゴツした戸隠山が映る光景を見たくて行ってみた。
着くと、7月と同じように、ホオジロが囀っていた。一番乗りかと思ったが、キャンピングカーで夜明かししたような、家族連れが、既に居た。
幸い、風もなく、ちょうど朝陽に照らされた戸隠山が、湖面に綺麗に写っていた。やはり、早朝とあって、気温が低いのと、高原の池ということで涼感いっぱいだった。
この鏡池、しばらく前のCMで観光客が急増し、道路規制やシャトルバスの利用などがあったために、しばらくぶりに行った。

まだまだ、暑い日が続いていて、今日も猛暑日?この辺りでは、8月に入ってから35℃以上の日は15日あった。一昨年の暑さに追いつきそうな勢いだ。それでも数日間、涼しいところで過ごせたので、この暑さも何とか越せそうである。もう、高原では赤とんぼが飛び始めて、秋の気配がする。動植物は短い夏を惜しむようだ。夏涼み、後は撮ってきた写真を見て涼しさを思い出すことにしよう。
2012  Aug 31  tama
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