緑の季節
既に梅雨入り宣言が発表になっているが、全く梅雨という感じはしない。毎年のことだけれど、6月初めの頃は意外と天気が良くて、初夏の行楽日和といったところだ。
つい先日のことだったように思うサクラトンネルは、今は緑のトンネルに変わり、日中こそは、強い陽射しで、トンネルといっても暗さは感じないが、陽射しが無かったり、夕暮れ時になると、オッ!トンネルだ、という気がする。
まだ、新緑が少し色濃くなった緑なので、それほど光も遮らず透かせて見える。緑のトンネルのすぐ脇には、バーべキュウが出来る公園があり、子どもから大人まで多くの人たちの歓声が聞こえていた。
トンネルの反対側の公園には、ドッグランが出来る広場があり、ここでも犬と走り回る子どもの姿や、大人も一緒に駆け回って、梅雨前の爽やかな一日を楽しんでいた。
そんな近くの公園を、久しぶりに一回りして見た。
公園内を歩いてみると、草むらに、いろいろな花が咲いたり実が生ったりしている。
ニワゼキショウは、くっきりはっきりと言った感じの小さな単独の花だが、群生している
ので、くさむら一面に白い点々が散りばめられたように咲かせていた。
このはっきりした感じが好きな花だ。
葉っぱが出てきて、そろそろ陽射しも遮られ地面まで届かなくなって
いるが、スポットライトのようの陽が当たっているところにヤブヘビ
イチゴが真っ赤な実をつけていた。
蛇が出そうなところに生えるからこの名前がついたというヘビイチゴと
ほとんど同じだが、萼片より副萼片の方が大きいヤブヘビイチゴ。
ヘビイチゴもヤブヘビイチゴも、名前からの先入観があるせいだけでは
ないと思うが、どう見ても美味しそうには見えないイチゴだ。
当然蛇だって食べないだろうが…
気が付けばアジサイの花も咲き始めていた。やっぱりアジサイは雨に
濡れて、滴がついた感じが似合う花だ。
こんな、いい天気のことを五月晴れと言うのだろう。
(本来、「五月晴れ」 は、旧暦五月、新暦の 6月、 7月の、梅雨時の晴れ間のことを言うようなので)
公園のランニングコースを走る人たちは汗をかきながら走っていた。こんな日は気持ちがいい。
丘陵になっている頂上辺りは、風通しが良いのかシートを敷いて寝転んだり、裸になって日光浴をする人たちが沢山いた。この時季、陽射しは強く、歩いているだけでも汗ばんでくる。
でも、風は爽やかで湿気が無いので気持ちがいい。
このクワグミも熟したものは甘くて美味しい、黒っぽいのは特に甘い。今の人はこんなものを見ても食べようとはしないから、ただ熟して実は落ちるだけだ。
子供の時、よく食べた。黒い実が甘くておいしいかったけれど、手が真赤になったり、口の周りも赤紫色にして。
最近の子どもは、こんな野生のものを口にしないから、免疫力や抵抗力が弱くなっているのではないだろうか。昔は、アレルギーなんてほとんどなかったような気がする。
そういえば、童謡 夕焼け小焼けの一節にも桑の実を歌っていることを思い出した。
♪夕焼け小焼けの赤とんぼ、負われて見たのは、いつの日か。
山の畑の桑の実を、小籠に摘んだは、まぼろしか。♪
歩いて行くと、鬱蒼とした木々の先にハッとする白いものが見えてきた。それも緑の葉っぱの上を覆い被せるように、あるいは白い葉っぱか・・・
以前カワウが木に止まり、フンで木が真っ白くなっていたことを思い出したが、それとは違う。
近くに寄って見ると、ヤマボウシの白い花がびっしり咲いていた。毎年咲くので、見ていたはずが、すっかりここにあったことを忘れていた。
山へ行ったときには良く見かけていたが、公園の緑が生い茂る中であまりにもコントラストが強く、インパクトがある景色だ。
梅雨入りしてから久しいが、梅雨はどこへ行ってしまったかと思う今日この頃。やっと梅雨前線が活発な動きを見せ始め、九州では大雨が降っている。
沖縄では、もう梅雨が明けてしまったようで、暑い日々が続いているとか聞く。
最近は、何事も極端で関東甲信の梅雨入りも、極端に早かったり、雨の量にしても、記録を更新するような大雨が降ったりするようになった。
気候の変動や地震など自然の変化に対しては、どうすることも出来ないが、気候変動の一因は、我々人間であり、その変化に気づき始めた。
今や、四季という季節がなくなりつつある日本。徐々に季節の変わり目で美しい季節、春と秋が無くなりつつあり、夏冬だけになってしまうのではないかと思ってしまう。
でも、今の美しい緑がまだ見られるうちは、大丈夫だろうと思う。木々の生長が著しい今の季節、林や森に入って、身体もリフレッシュしましょう。