戦うセミ

今年は、平野部でセミの鳴き声が聞こえないなんてことが話題になっていた。そういえば、自分でもあまり聞かなかった。でも、専門家に因れば、そんなことはなく平年どおり鳴いているそうだ。
基本的にセミが鳴くのはメスを呼び寄せるための配偶行動なので、メスは鳴かない。コオロギなどのこれから鳴き出す秋の虫も同じくメスは鳴かず、オスのみだ。
仲間同士のコミュニケーションに鳴き声を使うこともあるようだ。エゾハルゼミのように1頭が鳴くと、その周辺のセミが一斉に鳴き出すものもいるようだし、鳴き声で集まってくることもあるようだ。多数が一斉に居ることで、鳥などの外敵から逃れるということもあるようだ。でも、あくまでもセミが鳴くのはメスを呼び寄せるためのようだ。

今回は、たぶんエゾゼミだと思うが、羽化した後、木を登っていく奮闘する姿を追った。
エゾゼミは、7月中旬〜8月上旬頃現れ、8月下旬頃まで聞くことができるセミで、北海道から九州までいる
大型のセミだ。日本にいるエゾゼミ属のセミの中では最も国内分布が広いらしい。
複眼は赤〜赤褐色。腹部は硬質で腹部腹面は褐色に白粉を帯び。 前胸背と中胸背の間の縁取りは、濃いオレン
ジ色。中胸背は黒地にオレンジ色のW文字の紋が見える。
鳴き声は震える様な低いビート音を含みながら「ギーー」と鳴く。
木の幹や枝で、多くの場合頭部を下に逆さまにとまって鳴くと、図鑑に書いてあったが、鳴いている姿を双眼鏡
で追ったが見たことがない。

朝、羽化したセミの抜け殻を見つけて、翌日その木を登って行くセミを見つけた。

細い茎を上へ上へと、手に持ったら引っ掻かれそうな6本の足を不器用に動かしながらゆっくり登っていた。

徐々に高いところへ行くと、細い枝になり、あの体重が無い様に見えるセミの重さで、枝が撓う為宙吊り状態になったりしていた。

それでも登る!落ちては登る。

木の茎も上の方は、柔らかで撓うので、セミも四苦八苦していた。

細い枝は撓うので登って行っては落とされ、枝先の実がついている当たりでかろうじてストッパーになり止り、撓って揺れていた。

しばらくもがき、次の枝へ乗り移るがブラーンとまた落とされる。

何回も何回も一番前の2本足でチャレンジ、一時は下向きに歩き始めたので、これは下向きになって鳴くという、その習性の表れか?

はっきりした名前は分からないが、図鑑やネットで調べるとエゾゼミらしい。日本中に分布しているようで、平野部でもいるらしいが平野部では見たことが無いし、鳴き声もしないような気がする。
まあ、アブラゼミの鳴き声が聞こえるから区別がつかないのか?でも、田舎へ行くと、人家の辺りでは、普通のニイニイゼミ、ミンミンゼミ、アブラゼミで、山では普通のセミではなく、ジー?ギー?と言うような低い感じの鳴き声が山中から聞こえて来るが、エゾゼミのようだ。

今回の観察は、このセミが羽化後に動き回る様子だった。緩慢な動きをしていて・・・まあ、セミがそれほど俊敏な動きなどするはずも無く、飛び立つ時くらいだと思う。

最近は、セミを捕るなんてことをしなくなったが、子どもの頃は木にとまっているセミを手で捕ったものだ。それを逃すと、セミがオシッコを我々にひっかけて飛んで行ったものだ。

セミは、頑丈そうで、ギザギザの前足を持っているが、動きを見ているとゆっくりゆっくりしていた。

そして、まだ飛べないのかと思っていたら、木の天辺あたりで落ちそうになり、飛んで行ったしまった。飛び立つ瞬間、良くギーなど声を発していくのだが、このセミは静かに羽音だけだったので、ひょっとしてメスだったのかもしれない。

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2011 Aug.22 tama
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