何時の間にか咲いたサクラ
今年は、3月に起きた大地震と津波の報道や天候不順か、いつまでも暖かくならず、サクラのことはすっかり忘れていた。
加えて自分自身の忙しさなどで、いつもの年なら、通勤の行き帰りのバス通りのサクラの咲き具合を見ていたのに、そんな余裕もなかったのかと・・・
気が付けば、サクラはいつもよりやや遅かったものの、いつも通り咲いていた。やはり世の中の自粛ムードも手伝ってか、華やかな気分にはなれなかったようだ。
サクラが咲けば、やはりサクラ並木の下を歩いてみたくなる。
近くの遊歩道のさくら祭りがあったが、見込み違いで前週の咲き始めた週末に行われたようで、この日は、いつもサクラの咲く頃出ている屋台などがいっさい見られず、こうしたこともあったからなのか、華やかさ
には欠けた花見だった。
ちょうど見頃と言えば、見頃だったが歩道の脇の吹き溜まりには、既に舞い落ちた花びらが、雪のように地面を敷き詰めていた。
空は、薄曇り。サクラの色はいまひとつ引き立たない感じがする。青空ならもう少し桜色が見られたような気がする。
サクラも良く見ると、1本の木でも枝に因って色がやや違っているものがあることを発見した。全体的には白っぽいが、一枝だけピンクが濃い色をしている。
今年は、ソメイヨシノやオオシマザクラの咲き方が遅かったので、同じ場所で咲くシダレザクラもほぼ同じ時期に咲いて、一際目を引いていた。
ソメイヨシノやオオシマザクラは、どこにでもやたらにあるが、その中で鮮やかな、大き目の花を咲かせるシダレザクラが目立つのも仕方ないことだ。
花の命は短くて・・・なんていう言葉があるが、1週間後には、薄緑の中に薄ピンク色が名残惜しそうに見える光景に代わっていた。
すっかり葉桜になって、新緑の中に残り花がちらほら咲き、花が散って残った額の赤い色が目につく頃になっていた。
これからは、緑が目立つ季節だ。
生まれたての赤味がかった緑が、うす緑色、萌葱色というのか、そんな色に変わり、5月の強い光を受けて、少しづつ濃い緑色へ変わっていく。
これを書き始めたのは、サクラが咲いて見頃の頃だったが、書き終わったのは、もう4月が終わる日になっていた。
嵐のような日々が続いた4月も終わり、気が付けば辺りは、すっかり新緑の季節になっていた。
このところ、気が付けば・・・と言うことが多い。
サクラもそうだった。特に、今年のサクラに関しては、何時の間にか咲いていて、更に気が付けば葉桜になっていたと言う感じだった。