近所の自然 キツネノカミソリ 妙音沢の湧き水

三年前の自然見聞録でも紹介したキツネノカミソリの花が見頃らしい。数日前に見に行ってきた妻が、もう一度一緒に見に行こうと言うので行って見た。

キツネノカミソリが群生している場所は、我が家から直線で数百mのところで、近くを流れる黒目川の土手の北斜面に自生している。反対側の土手には桜並木が続き、春にはサクラの花が満開になり、お花見でにぎやかだ。

それに比べると、キツネノカミソリは、最近こそいろいろな情報網に載り聞こえ知った人々でにぎわうようになったが、数年前は見に来る人は、近所の人や野草に興味がある人くらいだったような気がする。

それと、以前からボランティアの人々が、下草刈りなど面倒を視ていたようだが、最近は市がバックアップするようになり、これまで以上に手が加えられてきているようで、私的には自生しているものに、あまり人手をかけるのことは賛成できない。

今夏は、梅雨明けと同時に真夏日、猛暑日と猛烈な暑さが続いてお湿りが少ない。この日は、前日よりは多少涼しかったので、朝のうちに見に行ってみた。

土手の上には市営の墓苑があるが、今回はその墓苑を通り抜けて行った。墓苑の端から土手の斜面に、階段状の歩道があって、観賞するには楽に行けるようになっていた。

前に行った時は、たぶんこの階段状の歩道は無かったような気がする。一旦、墓苑の前の道路を行き、川の反対側へ行き、橋を渡ってキツネノカミソリの花が咲く土手へ行ったことを思い出した。

キツネノカミソリ(狐の剃刀):
学名 Lycoris sanguinea
ヒガンバナ科の多年生草本球根植物。
本州・四国・九州に分布する。

九時過ぎに家を出て、住宅地を通り抜けると幹線道路にでる。この辺りは昔アメリカ軍が駐屯していたキャンプドレークの跡地で、今は朝霞市、新座市、和光市、練馬区、自衛隊の朝霞駐屯地として分け合って公共施設として使用している。

新座市は、この跡地に県の防災基地、小学校、高校、自衛隊の演習場そして市営の墓苑に利用している。
この市営墓苑の端の一方は、自衛隊の演習場に接し、反対側は黒目川の段丘になっている高台の墓苑だ。

墓苑内に入ると、ちょうどお盆で、盆の入りの日。そこここから線香の香りが漂い、墓石には新しい花が手向けられていた。そんな中を100mも進むと、段丘の上に出て斜面には雑木が沢山生えている。

墓園は、お盆のお墓参りの人たちでにぎわっていたが、キツネノカミソリのことは、あまり知らないのか、そちらへ向かう人は少ない。
苑内には、案内看板も出ていたが、キツネノカミソリを見に行く人たちは、墓参りに来た人ではなく、それを目的に来た人ばかりのようだった。

斜面の階段状の歩道を下りていくと、斜面の草むらにポツポツとオレンジ色が見えてきたが、以前はもっと群生していたような気がしていたので、ちょっとがっかり。

歩道を下りきって、黒目川をすぐ下に見ながら、斜面を下から見て進むとオレンジ色が沢山見えてきた。

でも、以前より背丈が低いような感じだし、茎も細いような気がする。あまり手を入れすぎて下草を刈りすぎてしまったのではないか?ちょっと弱々しい感じがした。
猛暑猛暑の毎日だが、妻の誘いでキツネノカミソリを数年ぶりに見た。
ボランティアの人たちのおかげで、綺麗に整備されて、以前より確かに
見やすくなった感じはする。
しかし、手の入れすぎのような気もする。天候の影響があってそう見え
るのか確かではないが、周りの草もきれいに刈られ、地面が見えてい
たりしていた。
猛暑で雨が少ないことも、その原因かもしれないが、キツネノカミソリの茎が以前より細かったり、背丈が短いようにも感じた。

帰り際に、ここの面倒を二十数年間も視ているというおじさんと話したら、こんなに茎が細いのは初めてだと言っていた。天候の関係ですかねと言うと、そうかもしれないが分からないと言っていた。


近くの、豊かな湧き水の流れる妙音沢へ行って見ると、以前行ったときより水量が多くなっていたような気がする。まあ、これは季節に因って降水量の違いで変わるだろうから、今の時季は多いのだろう。この辺りの地形を見れば、それほど高低差は無いけれど、山になっていたり谷になっていたりする地形なので、段丘になっている下部は、水脈が切れて地上に出てくることも考えられる。そんな場所なのだろう。

ここは、東京都と埼玉県の境だが、まだまだ武蔵野の面影を残す地域だ。近くにこれほど、自然に接しられる場所があり、都市化が進んだ新座市で、自然が残る貴重なエリアだということを再認識した。
キツネノカミソリの開花期は、結構長いようだ。前回書いたときは、7月だったが、今回は8月、盛んに咲いてはいるが蕾も沢山持っていたので、これからどんどん咲いてくるのだろう。

花には、カラスアゲハやアオスジアゲハなどもヒラヒラと飛んできては、花に止まり蜜を吸っていた。

川沿いに歩いていくと、大きく三群落が見られた。全体を見て、背丈が低い、茎が細いといった感じを受けた。
ニッコウキスゲなどユリ科の花とは違い、茎が赤っぽく、花の色も名前の通りかどうか、キツネの体色に似て赤っぽい色をしている。

この斜面は、雑木の大木が多いが、今年はセミがうるさいほどは鳴いていないような気がする。
見かけたり、聞こえてくるセミはアブラゼミとツクツクボウシだけで、ミンミンゼミの鳴き声が聞こえてこないのも気になるところだ。

林の中なので、直射日光が当たらない分涼しいが、下を流れる黒目川の流れを見ると更に涼しげに感じる。
この川も、以前より水が綺麗になったような気がする。一頃は、東京をはじめ全国の河川は汚染され、見ることも嫌になるほどの汚い川もあった。

この黒目川は、比較的郊外を流れてくる川なので、それほどひどく汚れていたと言う記憶は無いが、それでもやっぱり都会の川か、という時もあった。
この日見た流れは、澄んでいて妻が何か魚が棲んでいるのかしら、と言うほど綺麗だった。

そういえば、このすぐ上流200m位の段丘の斜面からは、豊かな湧き水の流れる妙音沢もあり、「平成の名水百選」に選ばれたようだ。

妙音沢の湧き水は、斜面が崩れないように10mほどの金網袋に石を詰めた石積みの下から流れ出している。

今の時季は水量も多く、湧水地点から30mほど流れ出した地点では幅5m程度の流れとなっていた。

湧水地から流れ出した水は、黒目川に注ぐ。
橋の向こう側がキツネノカミソリの群生地だ。

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2010 Aug15 tama
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