よく鳥見に行く荒川土手にも春がきた。
土手の芝生は、青々して、その中にいろいろな花が咲いている。ツクシやヨモギも伸びている。土手のあちこちで、春を摘む人たちが見える。斜面になっている芝生のなかで、しゃがみこみ少しずつ動いている。子どもの頃、春のお祭りの頃に、草餅をついてもらうために、もち草(よもぎ)の若いところを摘んだことを思い出した。
あの頃の草餅は、正真正銘の草餅だった。摘んできたもち草を、根元や強い部分を取り除き、綺麗に洗い、それを蒸し、臼に移して杵でこねて、そこへ蒸しあがったもち米を入れて、こねる。そしてペッタンペッタンと餅をつく。そんな草餅は、もち草の風味がいっぱいで、中にアズキのつぶあんが入れば最高だ。
ピーチリチー、ピーチリチー、ピーチュルピーチュルピルピル・・・ 忙しない、でも透き通る綺麗な鳴き声がどこからともなく聞こえてくる。姿を探すと土手のはるか上空でホバリングしたり、急降下してり、鳴き声と同じく忙しない動きをしているヒバリだ。この動きや鳴き声は、やっぱり春が来た喜びのような歓喜の表れではではないだろうか。
土手を犬とお散歩をする人もいた。キラキラ光る川面に糸を垂れる人たちも見える。
2月に、同じキラキラした水面を見た時は、水に手を入れる気にはなれなかったが、その時とは違い、今は水ぬるむ、という言葉が似合う時季になった。釣り人も、今は上着を脱いで糸を垂れていた。
黄砂とともにやって来た暖かい日に、都下にある都市公園へ出かけた。
ある鳥見人のHPを見ていたら、前日に行った公園のことが書かれていて、そろそろ冬鳥もいなくなるので、見納めに公園に行ったけれど、時期が遅すぎたのか、アトリ、イカル、ツグミは全く見れなかったそうだが、辛うじてシメ3羽が見れ、なんとまだトラツグミを見ることができたそうだ。
えっ!! まだ、トラツグミが見れる。それならば行ってみようと出かけてみた訳だ。でも、この公園は初めてで、それも広さ79ヘクタールもあり、どこに出るのかも分からず探し歩いた。
この公園は、典型的な都市公園で、テニスコートや野球場などスポーツ施設、○○広場と名のついた広場が幾つも、梅林、野草園それにバードサンクチュアリーなど多種多様な公園だ。でも、バードサンクチュアリーは、雑木林などでなかなか中を覗けるない。
春が来た 春が来た どこに来た。
山に来た 里に来た、
野にも来た。
花がさく 花がさく どこにさく。
山にさく 里にさく、
野にもさく。
鳥がなく 鳥がなく どこでなく。
山で鳴く 里で鳴く、
野でも鳴く。
そこで、鳥見はあきらめて、春を探すことにした。歌にもあるように♪里に来た〜 野にも来た〜♪と…公園にも来たかなぁ〜と公園内を歩き回った。
いろいろ歩き回ったが、HPの鳥見人が見れなかったという、アトリ、シメ、ツグミは、この日は団体さんで飛び回ったり、地面を突っついたりしている姿をたっぷり見せてもらった。でも、見たかったトラツグミは姿を見せなかった。
○○広場と名のついた広場が幾つもあり、子供ずれのママたちが遊んでいた。そんな地面を見ると、枯れ色の地面に緑色がずいぶん広がってきている。皆が歩き回る場所は、地面が固くなってしまい、なかなか雑草が生えるのも大変で土のままだ。
でも、樹木が生えている辺りでは、少しずつ緑の陣地が広がっていく。
落葉していない樹林の下は、もうだいぶ緑が広がって、一見若い緑のじゅうたんが広がっているようだ。この緑の若草は、これから強い太陽の陽射しを受けて、それに負けじと強い(こわい)草に変わっていくのだろう。たぶん、今は色も草自身も柔らかだろうが、夏ごろになれば、濃い緑になり、引きちぎっても筋が残るようになっているだろう。
ちょっとした小山があり、それを越えてみたらコブシが咲いていた。木の下には地面が赤紫に染まるほどのヒメオドリコソウがびっしり花を咲かす寸前でいた。
グランドをとり巻くサクラの木は、まだほとんど咲いていない。学生は、そんなグランドを今日も走っていた。