11月に入ると、冬鳥が少しずつ訪れる。メタセコイアの小道辺りにはジョウビタキが顔を出し始め、最初のうちは警戒しているが、何回か見に行くうちに比較的近くに人が居ても平気になって遊びまわるようになる。
この頃になると、寒くなってくるので人出は少なくなり、入れ替わるように冬鳥が目立つようになって来る。アカハラ、シロハラ、ツグミ、アトリ、マヒワ、シメ、アオジ、ベニマシコ、アリスイなどなどにぎやかになる。

この公園は、夏鳥たちにとっては、春、秋の渡りの途中で立ち寄るだけだが、冬鳥たちはほとんどがここで一冬を過ごす。公園内は、ハンノキ林の中に池が点在したり深い森に包まれるなど、さまざまな環境に恵まれ春、秋の渡りや冬鳥を中心に多彩な鳥が観察出来る。
夏の間は、ほとんどが行楽の人たちだったが、今は、ちょうど秋の渡りの時季にあたり、鳥見人も増えてきてにぎやかになってきた。でも、この公園は、行楽の人たちは草原や大木の木陰を選んで過ごすし、鳥見の人たちは雑木林など森の中へ入ってしまうので、うまく棲み分けができているから、干渉しあわなくていい。

そろそろ樹木の葉っぱも枯れたり、落ち葉となって裸になるので、鳥も見やすくなるのでじっくりと見られるし、地面を突っついて虫を捕ったりする鳥たちも見られるようになる、
これから南の国へ渡っていく鳥たちは、ここで沢山の木の実や虫を食べて、体力をつけて、それにしても海を渡り何千キロもの距離をあの小さな身体でいくという不思議さ。そして、また半年もすればここへ帰ってくる。

昨年の秋は、ずいぶん遅くまでキビタキの姿が見えていて、これも温暖化の影響?ひょっとしてこのままここに居ついてしまうのではないかと心配したが、いつの間にか渡って行ったようだった。
近くの田んぼで、昨年、一昨年にシロハラクイナが越冬をしたこともあったので…。

一夏が過ぎて、9月の声を聞き半ばを過ぎると、今度は山で一夏を過ごした夏鳥たちが、また南の国を目指して渡っていく。春とは逆にこの公園でしばらく体力をつけて渡っていくのだろう。
秋は、公園の樹木が沢山実をつけるのでそれを目当てに立ち寄るのだろう。コブシの赤い実やアカメガシワの実にオオルリ、コサメビタキ、エゾビタキ、キビタキなどのヒタキ類がやってくる。サンコウチョウも立ち寄っていく。こうして9月、10月下旬くらいまでの間に幾つかのグループ?が逗留し渡っていく。ツツドリ、カッコウも同じく立ち寄ってアオムシやケムシを食べて渡っていく。

この森も6月頃のなると、カッコウの鳴き声が聞かれるようになり、ツツドリ、ホトトギスなどのカッコウ科の鳥が見られる。

ヤドリギの裏側に広がる広大な雑木林には、沢山の野鳥がやってくる。4月下旬からは春の渡りが楽しみだ。春の陽が明るく輝くようになると、この森が一番華やかになる季節だ。
南の国から渡ってきたキビタキやオオルリが囀る。ちょうど新しい葉っぱの影になって、なかなか姿を見る事は難しいが囀りを頼りに探すと黄色オレンジの鮮やかなキビタキ。青色と白のオオルリの綺麗な色が新緑とマッチして綺麗だ。
この頃は、他にサンコウチョウも渡ってくるが、姿を見るのは難しい。独特のヒラヒラっとした飛び方や「ホイホイホイ」という鳴き声は聞くけれど、じっと枝に止まっている姿、それもヒラヒラした長い尾羽姿はじっくりと見たいものだ。

次に向かうところは、メタセコイアの左側に広がる草原。ここの草原はサクラの並木と反対側の端にはヤドリギがあり、春先になるとヒレンジャクがやって来る。ヒレンジャクは大挙してきた年もあれば、数えるほどしか来なかった年もあり、何が影響しているかはわからない。ヤドリギの脇にある水溜り近くでは、冬の間青いルリビタキがよく見ら
れた。この辺りは、けっこういろいろな鳥が来るので、時によっては鳥見の人たちでにぎわうところだ。

右手の藪の中にはキジやコジュケイが居て、時折鳴き声が聞こえる。そして春先の陽気のいい日には、ここのメタセコイアの小道辺りに出てきて姿を見せてくれる。
この中の林にはオオタカの巣があり、若鳥だったか頻りに猫に似た鳴き声をしていたことがあった。また、この藪の中にはカナムグラが沢山ある。カナムグラは細かいトゲが纏わ
りつくので人間にとっては厄介者だが、冬になると、ウソが来てもの凄い勢いでカナムグラの実を食べまくる。

この公園を知るようになったのは、3年くらい前のことだ。鳥見という遊びを知り、出歩く範囲が広がってきてこの公園を知った。今の所に住み始めて十年余り、自分が住んでいる近くに、こんなにも大規模の都市公園があったことを知らなかった。

この公園は、荒川の河川敷に広がっている。都市公園ということから、多目的公園で 「スポーツゾーン」「観察・探索ゾーン」「憩いの森ゾーン」「自然の森ゾーン」等、林や草原が広がり、休日には多くの行楽の人たちでにぎわっている。
ここは、河川敷ということもあり、人たちの住空間から隔離され、「観察・探索ゾーン」「自然の森ゾーン」は、かなり自然化されて、野鳥の観察地としては絶好の場所となっている。

この公園へ鳥見に行くときは、ほとんど一人で行くが、季節の良いときは、お散歩がてらのピクニック気分で奥方とお弁当を持って出かける。
山登りに持っていくガスバ−ナ−とコーヒーメーカーそれと安いコーヒー豆を挽いたのを持っていき、草原の真ん中でお弁当を広げ、脇ではコーヒーを沸かす・・・。
鳥見に行くと、いつも駐車場から歩き出し、まだ若いサクラ並木を通り抜け、左側は整備された公園、右側はほとんど手が入っていない藪と林の荒地で、それらを挟むように境目にメタセコイアの大木が並び、その下が遊歩道になっている。そこから歩き出す。勝手にメタセコイアの小道なんて呼んでいる。

渡り鳥の森

周囲の河川敷は農耕地や荒川の調整池等があり、水田、草原、葦原、河川や池が広がっており、いろいろな種類の野鳥が訪れ、その数は百種類以上にもなるそうだ。また、時によっては珍鳥も現れることがあるようで、鳥見の人たちでいつもにぎわっている。

冬季には、歩き出し耳を澄ますと、右手の藪の中からガサゴソ聞こえてくる。音の方をジッと見ていると、藪の中からアカハラやシロハラなどが姿を現す。この境目辺りには、毎年ジョウビタキが来て一冬を過ごしている。同じ場所で3年も見れるということは、同じ固体が来ているのだろうか。不思議だ。
この藪と林の荒地は、人間は容易には入り込めないが、野鳥にとっては、まさに園、野鳥の園だ。
そろそろサクラの葉っぱが赤や黄に色付き始めた。そして落葉が歩道や草原にいろどりを添えている。
しかし渡りの夏鳥たちは、夏をこの森で過ごすわけではなく、単に中継地として過ごすので、それほど長居はしない。
それ以降、夏の間は留鳥くらいしか見られなくなり、入れ替わるように行楽の人たちでにぎわう。
そんな森だ。  雑木林の中には、鳥見人たちが踏みしめた小道が幾条もついている。
ツグミは、その年にも因るがその数はいろいろだ。昨シーズンは、あまり多くなかったようだが、その前年は多くの群れが草原に点々として、地面を突っついては、地中の虫を啄ばんでいたことを思い起こす。
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2008 Sep 30. tama
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