飯綱山群 瑪瑙山 紀行

前々から気になっていた山に、瑪瑙山があった。瑪瑙山は飯綱山群の中の山で、飯縄山へ登り始めた頃から、その存在は知っていたものの、それほど目立つ山でもなく、何回も飯縄山には登っていたが、瑪瑙山へ行くことは無かった。

飯縄山から続く登山道があることは知っていたものの、その登山道の入り口を探す気も無く、戸隠スキー場の開発とともに怪無山へリフトが架かり、しばらく行かない間に瑪瑙山にまでリフトが架かっていた。

この3月にスキーに行ったときにリフトで上がり、終点から数十メートルで瑪瑙山の頂上に立った。
その後、雪融けを待って、今度はぜひ自分の足で歩いて登りたいと5月のある日行こうとしたが、その日は雪に覆われてしまい断念、今回になった。

【実線は今回歩いたコース。この写真は、戸隠観光協会HPの戸隠スキー場・Mt.Menou Snow Worldとがくしギャラリーの写真を利用させていただきました。リンク先は http://togakushi-21.jp/

戸隠スキー場駐車場 10:20 ⇒ 第6リフト乗り場 10::40 ⇒ 
第5リフト終点下 11:00 ⇒ 第6終点/瑪瑙山頂上 11:20

瑪瑙山頂上 11:45 ⇒ 怪無山 12:30 ⇒ チャレンジコース
⇒ スキー場駐車場 12:50

コースタイム

8月半ば、暑い時期なので早朝に登ってしまいたかったので出かけたが、今夏の天候もちょうど変わり目にかかり始め不安定になってきたようだ。天候の様子を見ながら、午前7時に戸隠スキー場へ行ってみたけれど、駐車場から見る景色は、濃い乳白色一色で、辺りが見渡せない状況だった。
そういえば、3月のスキーの時も濃いガスで覆われていた事を思い出した。この辺りは、日本海側からの天気の影響を受けやすいのか、山岳地帯であることも影響して天候は激しく変化するのだろう。

これでは、山登りも楽しくないので、ひとまず退散して、しばらく様子を見ることにして、近くの森林植物園へ行ってみた。

空に青空が見え始めたので、もう一度スキー場へ行ってみた。すると青い夏空に雲は多いものの夏の良い天気になっていた。スキー場のどん詰まりに、わずかに見える瑪瑙山は、時折ガスに覆われるが、この天気なら・・・しかし、さっき森林公園内を歩いていた時に、一度だけ戸隠山の方角から雷鳴が聞こえたので、雷雨は覚悟しなければならなかった。
でも、瑪瑙山の距離からすれば往復で2時間から3時間もあれば行って来れるし、いざという時はリフト小屋があるので避難もできるので行く事にした。時間は、既に午前10時を回っていた。

スキー場内の草むらを歩き始めた。最短距離を歩き始めたが、伸び放題の草は、背が高く歩きにくく、嫌にってきた頃、スキー場内を通る道路に出た。夏場にスキー場内を歩くことなんて無かったので道路は知らなかった。でも、この日歩るこうとしたコースは、シーズン中はゲレンデで、しかも滑った事のあるコースを歩こうと考えていたので、夏場は多分道状になっているだろうとは思っていた。
駐車場と見上げる急斜面のチャンピオン、チャレンジ、シルバーコースの間には、今は草原になっている緩斜面のゲレンデが広がり、その左奥の沢を登り詰めたところが瑪瑙山だ。

【右:ゲレンデの最奥の山が瑪瑙山】
【左:スキー場内の道路。脇の草原は花がいっぱい咲いていた。戸隠山を背に歩き始めた

登りは、リフトの左側の全長1500mのお水仙コースを歩く。沢筋に沿って登るので、空は狭くなって真っ青な夏空に雲が行き交い、カンカン照りかと思えば陽射しを遮り、一時翳りがくる。そんな時はホッとするが、また強い陽射しが暑い。

【右:振り向くと高妻山が見えた】【左:第6リフト乗り場脇】

第6クワッドリフトは、支柱が16本あるが9本目あたりから傾斜が急にきつくなり間隔も狭くなってきた。歩いていたゲレンデは、リフトと並行していたが同様に傾斜がきつくなり急登ができなくなったので、リフトから離れるように斜面を斜め横に登っていく。突き当たりは、第5ペアリフト終点の尾根に出た。ここで11時になった。
ゲレンデ脇の草原には、クルマユリだろうかコオニユリだろうか1株だけ咲いていた。

でも、8月半ば、草むらに咲くヤナギランなどの花が、短すぎる高原の夏を名残惜しそうに咲いていて、アザミだけが元気だ。山では夏の最盛期は過ぎ去ったように感じられる。
短い山の夏には、花がいっせいに咲き、それでも咲ききれない花が一生懸命咲いていた。その花へハチやチョウが、これも短い夏だけありつけるミツを吸いにきていた。山の動植物が一番活動する時だ。

スキーの時は、急斜面でも一気に滑り降りてしまい、デコボコもさほど感じなく楽しさだけで、さほど斜度が気にならなかったけれど、そのゲレンデを足で地面を直に歩いてみると石・土・草が、それに急傾斜が加わり、何ときついことか・・・それも登るとなると急傾斜であることを思い知らされた。第6クワッドリフトの終点直下30mくらいからの赤土の火山土と石がゴロゴロしたところを喘ぎながら登りきると、第6リフトの終点だ。誰もいない。

ここからヘアピンのように曲がり、この尾根を登りきれば第6クワッドリフトの終点に
登りつく、最後の急登だ。
ここは、太陽に向かって登る感じで照りつけが暑い!でも、尾根の上を歩くので視界が開け気持ちが良い。すぐ後ろには、屏風を広げたような戸隠山・高妻山が聳え、更に奥には雨飾山・焼山・火打山などの頚城の山々が、まだ所々沢筋に白いものを残し見えていた。

【右:第6リフト脇の道を登り一息ついて見上げる空は、夏の雲とガスが忙しなく動いていた】
【左下:瑪瑙山を正面に登っていく道端には花がいっぱい咲き昆虫も飛び交う】

【左:右手の道を登ってきて、こここで方向転換して尾根道を登る】

広い草原になったゲレンデを左奥目指して歩いていくと、第5ペアリフトの乗り場だ。傾斜も少しずつ増してくる道を歩きながら振り返ると、今まで広かった視界が両側から張り出してきている尾根に挟まれた狭くなっていた。その窮屈な視野に高妻山が見えていた。

前方には、瑪瑙山頂上直下まで一気に上がっていく第6クワッドリフト乗り場の建物が見えてきた。更に傾斜が増してきたところが、第6クワッドリフト乗り場の脇だ。駐車場から歩き出して20分が経過した。以外に近い!
ここで一休み。周囲を見回せば、3月に滑ったことを思い出した。リフトに乗り、上がってリフトの両脇のゲレンデを何本も滑り下りたあの日のことを・・・

頂上では、少し早いお昼を食べ周囲の眺めを楽しんだ。瑪瑙山の裏側から飯縄山へ通じる登山道は、この頂上から一気に鞍部まで100mくらい下がり、そこから急な尾根道を300m弱登るようだ。その飯縄山の頂上はガスに覆われて、姿をはっきりは見せてくれなかった。
霊仙寺山の稜線を低い方へ追っていくと、野尻湖が見えた。野尻湖は、もう何十年も行っていない。戸隠側をずっと遠くへ目をやると、5月に登った一夜山が霞がかった風に見えた。北アルプスの展望はすばらしいのだろうが、この日は何も見えなかった。

【右:第6リフト終点直下から振り返った第5リフト終点と戸隠連峰左:第6リフト終点直下から瑪瑙山頂上を見る】

【左:瑪瑙山頂上
右:瑪瑙山頂上と飯縄山。真ん中の尾根は飯縄山への登山道】

右上:頂上からスキー場方面を見る。一夜山が薄っすらと見えたが北アルプスは雲の中。

左:霊仙寺山の稜線をたどると野尻湖が見えた。
右下:第6リフト終点から下の乗り場、スキー場を望む】

そこから崖を十数メートル登ると瑪瑙山の頂上だ。崖を途中まで登ったところ、崖の上からひょっこり人が現れた。お互い立ち止まり、挨拶をかわし、立ち話をした。

そのおじさんは、次週何人かの人を引率して飯縄山-瑪瑙山を登りに来るそうで、その下見登山に来たそうだ。初めてで下山はどっちが良いか聞かれたので、今自分が登って来たコースを推薦した。おじさんは、飯縄山からここまで結構きついですねと、でも逆から来たので良かった、こちらからだと大変だったと言っていた。

また、目の前に見えた黒姫山を見て、先週は黒姫山へ登ったのですが、樹林帯の登りで見晴らしがきかず、暑くて大変だったと話したので、私も、以前登ったときに同じような体験だったので、同感だと話した。

何だかんだと5分くらい話して別れ、崖を登りきって、ようやく瑪瑙山の頂上についた。時間は11時20分、スキー場の駐車場を出てからちょうど1時間だった。

頂上で約30分、汗も引いてきたので、そろそろ下りることにした。今度は、登って来た反対側の全長1500mのメノウコースを下ることにした。このコースは、登りのコースとは違い、ゲレンデは草ぼうぼうだ。でも、歩いた踏み後があったので助かった。草というより花がいっぱいだった。お花畑の中を歩いているような感じで、気持ちが良い。天国って、こういうところかなって思うような感じだった。

お花畑のお散歩も終わり、さっき登り始めた第6リフト乗り場の入り口まで下りてきた。ここから右のゲレンデを100mほど下れば、リフトの乗り場だが、そっちには下りずに、今度は怪無山へ向かって登って行く。振り返れば、瑪瑙山、そこから下ってきたゲレンデがはっきり見えていた。

【左上:下山のメノウコースは草ボウボウ、でもお花畑が続く。


左下:天国?お花畑?短い夏を惜しむように咲く花。


右:下山コースから第5リフト終点。その後には戸隠、高妻、頚城の山々がまだ残雪を見せていた。】

怪無山方面へは、道路状になったゲレンデを登っていく。ダラダラ登って第3リフトの終点が見えてきたが怪無山のピークははっきりしていない。ピークと思しき辺りを歩いてみたが、それらしい目印を発見できなかった。自分がスキーに没頭していた若かりし頃は、スキー場の最奥はこの怪無山だった。それ以後、今たどってきた瑪瑙山方面が開発されたのだ。

右:瑪瑙山から下りてきた鞍部、第6リフト乗り場の上だ。ここを右に下れば乗り場。

左:鞍部からダラダラ登り、振り返ればさっき登った瑪瑙山、下りてきたコースが良く見えた。】

怪無山からパノラマコースを下り、いよいよ戸隠スキー場の上級者コースが並ぶ頭へと向かい、チャンピオンコースを下ろうとしたが、ここは背の高い草で全く歩けない状態だった。少し戻ってチャレンジコースを覗き込むと、ここは最近出来たばかりのコースなので、下草も伸びない地面が丸出しのゲレンデになっていたので、ここを下りることにした。

【右:怪無山へ登ってきて第3リフトの終点が見えてきた。その先には戸隠山の八方睨み辺りが見えた。

左:怪無山の頂上らしき場所だが、定かではない】

左:チャレンジコースの頭に立って下を見下ろす。急でコースの末端は見えていない。


右:チャレンジコースのほぼ末端に近いところ。この辺りまで来れば、傾斜もかなり緩くなってくる。】

チャレンジコースの頭に立つと、さっき歩き始めた広い草原になったゲレンデへまっすぐに落ちていく。正面には戸隠山がドーンと目に入ってくる。このコースは、真っ直ぐに下りるのは夏でも冬でも難しい。やはりスキーに倣って斜滑降の感覚で下りていくが、少し下り始めたら気分はスキーそのものになってしまい、結構走っている事に気づいた。

やがて杉林を抜けると、このコースも終わり、緩斜面の広い草原になったゲレンデに出た。ヤナギランが咲く草原では、背の高い草に止まり揺れながら囀るノビタキが迎えてくれた。草原を通り抜け、スキー場内の道に出て、駐車場へ戻った。
12時50分だ。
振り返って見ると、ゲレンデの最奥にさっき登った瑪瑙山がはっきり見えていた。

右:下ってきた戸隠スキー場のチャレンジコース(中)とチャンピオンコース

下:駐車場からスキー場のゲレンデを見る。最奥に瑪瑙山】

【上:降りてきて、スキー場内の道路から見えた瑪瑙山。

下:バードラインから見た瑪瑙山。】

この頃、以前に登ったことがある山やこの飯綱・戸隠周辺の山へ登ってみたいという気持ちが、どんどん膨らんできている。
何故なのかはよく分からないけれど・・・今年は、一夜山とこの瑪瑙山へ登ったが、次は飯縄山〜瑪瑙山、高妻山へも登ってみたい。

山へは人と一緒にワイワイいいながら登るのが良いのか?と言われると、どうも一人で気ままに登るのがいいようだ。
若い頃は、パワーがあったから誰とでも合わせることができたから、いろいろな人たちと、いろいろな山登りも出来た。今でも自信はあるけれど、気を使いながらよりも勝手に歩きたいと思うようになった。
わがままといえばそうだろうが、自分のペースで好きな所で景色を眺め、そこにずっと居たければ、頂上まで行かなくともいい。そんなわがままな山登りが好きなようだ。
さて、今年はあとどれくらい登れるのだろうか・・・

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2008 Aug 27. tama
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