春よ 来い

厳しい寒さが続いた2月も、最終週あたりになって数日間は、日中の気温がようやく二桁を示すようになってきた。
ベランダから見える富士山は裾野まで真っ白な装いを見せ、丹沢山塊も多くの雪を残している。少し前までは、それらの山容がくっきり見えていたが、ここ数日は靄に消えたり見える日があったりで、季節の変わり目にきていることを示しているようだ。

寒い寒いといって、なかなか外へ出かけるのも億劫だったが、二桁の気温と聞いて近くの公園へ出かけてみた。

午後の公園は、まだまだ枯れ色の世界だったが、砂場から聞こえてくるチビッ子たちの遊び声は元気で、冬枯れた公園を元気付けていた。

公園の入り口の藤棚は、あと数ヵ月後には紫色の大きな花房をぶら下げる準備に入っているようで、ひと頃の枯れ切っている様子より元気になっているような感じを受けた。

その脇にある噴水は、夏は主役で子供たちの格好の遊び場になるが、今はただのオブジェだ。こんな状態を見ていると、夏の子供たちの歓声が聞こえてくるようだ。

マンサク

まだ、ほとんど枯れ色の公園内で目をひく黄色。近くに行くとマンサクが咲いているのだと分かった。錦糸卵のような花びらを沢山つけていた。今のような花の少ない時期に、おもしろいというか変な花を咲かせるマンサクの名前の由来は、黄色の花が枝いっぱいに咲くので「豊年満作」からきた説と、春一番に花が咲くので「まず咲く」がなまってマンサクになったとか。でも、春が近づくと枯れ木の中に黄色い花をいち早くつけるので「まず咲く」のほうが命名としては当たっているような気がする。よく見ると、4 枚の細い花びらが華奢で、茶色い萼片とコントラストを作っている。

マンサクにも種類があるのか、隣の公園に咲いていたマンサクは花の数がまばらで、枯れ葉が沢山付いた木に咲いていた。
どうやら、これはシナマンサクらしい。

どちらかというと、花のつき方などから、こちらの方が花としては趣があって好きだ。

ウメ

公園の黒々したクヌギなどの大木をバックに、鮮やかなピンクというより桃色といったほうがピンとくる色合いのウメの花が、点々点とちりばめられていた。

もう盛りが過ぎてしまったのか、こういう咲き方なのか、一つ一つの花を見るとそれほど綺麗とは思わないが、回りとのバランスで豪華な花模様が見られる。それでも、まだ見ごろの花びらを太陽光をバックに透かせるように見ると、光り輝いたような綺麗な花が浮かび上がってくる。

ジンチョウゲ

この時期にしては、色合いのあるジンチョウゲが咲くときを待っていた。あまり目立たない赤色の蕾が10個くらいかたまって付いていた。咲くと白っぽくなったような記憶があるが、まだ咲いていない。そんなかたまりの蕾を幾つもつけていた。
もう少しすれば花がほころび、香りを漂わせるが、ちょっときつい臭いだったように思う。キンモクセイの香りは好きだが、この花の香りはあまり好まない。
何でも、花の強い香りがあるので、野外トイレの近くに植えられる場合があるそうだ。これは臭い消しなんだろうな。

公園内を歩いてみると、そこ彼処に春の兆しは見えているが、咲いていた花は、上に挙げたようなものくらいだった。今年は、まだ地面の温度が上がっていないような気がする。本当に日当たりの良い場所でない限り地面に咲く花がまだ見えない。今時分はオオイヌノフグリが咲いているくらいだが、それもあまり見られなかった。
やはり、地上の気温も毎日二桁台にならなければ地中の温度も上がらないのだろうか。3月に入り1週間もすれば、地中の虫たちも、暖かさに誘われて這い出てくる頃、啓蟄だ。でも、この調子だと虫たちも顔を出すのかどうか、少し心配だ。

草木の芽吹きを待っているのは、人間だけでなく、草木自体も待っているような気がする。もう蕾を膨らませているジンチョウゲ。ウメは気早で、気温にちょいとだまされて咲いてしまったけれど、白いウメは、まだ躊躇しているような気配だ。
アンズは、まだ硬いつぼみが寒さに耐えている風だった。
やっぱり人間も、何時になったら暖かくなるのだろうと春を心待ちにしているのは、私だけではないと思う。
ここのところようやく三寒四温ペースになろうとする気配がしてきた。暖かい日があり、ちょっと戻って、また暖かくなるこのペースだが、今年は少し遅いようだし、おかしい。

今日も午前中は比較的暖かく、街ち行く人たちの装いも一頃に比べたら上着を一枚脱ぎ捨てた感じだったが、昼頃から前線通過で強風が吹き始め、バス停で待つ人たちは物陰に
身を寄せて寒さをしのいでいた。

今の季節は、冬と春が綱引きをしている最中なの
で、天候に裏切られるので注意しないといけない。

公園内を流れる川面には、周囲の木々の影が映り
何かホンワカと暖かさを感じさせてくれるが、まだ
まだ「水温む」と言うわけにはいかない様だ。

春よ来い! 早く来い・・・

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2008 Mar. 1. tama
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