その隣には、マンサクが黄色い細長いひも状のちぢれたヒゲのような花をつけていた。黄色が鮮やかだけれど、赤い種類のものもあるようだ、まだ見たことがない。春に他の花に先駆けて咲くので”まず咲く花”ということでだんだんと ”まんさく”になってきたらしい。また、花がたくさんつくので「豊年満作」から命名されたともいわれているようだ。
たらたらと歩きながら、春の先取りをしたような気分になった。ひと月早くなったような季節を喜んでいいのか、異常な気象を悲しむべきなのかは分からないけれど、生きている季節、否応無しに移ろっていく季節、自然の力によって、とは言いつつ、我々が自然に対して配慮しなかったツケが、溜まりにたまって、今のような現象を引き起こしているのだろうが・・・。
それでも、春になれば眠っていた植物が起きだしてくる。まだまだ芽も葉も出していない丸裸の木々も沢山目につく時季だけれど、気早な草花は芽を膨らませ、花を付け始めている。
この頃になると、寒い寒いと家の中に閉じこもっていた、我々人間も、そろそろと外へ出てみようかな、という気持ちになってくる。また始まる新しい季節は、私達の目を楽しませてくれるし、こんな風景を見ると気持ちも和んでくる。
♪は〜るがきた は〜るがき〜た どこに〜きた 山にき〜た 里にき〜た 野にもきた ♪
私のところにも、そろそろ春がくるかなぁ〜
グランドを離れて、小高い丘のようになっているところを登って行き、振り返ると、その風景は春そのものだ。柔らかな陽の光に照らされた公園は、春特有の靄った感じで霞んで見えた。既に陽光は、春の明るい光になっており、これからはこんな光景が度々見られるのだろう。
丘を下りて行くと、白梅がワッと咲いていた。ここはウルサイといった感じだ。でもこれだけ一気にたくさん咲いていると、これもいいかな。って思う。これは、まだこの時期花が咲き始めだから、辺り一帯から見ても枯れ色の中にワッと咲いているからいいのであって、もう少しして、サクラが花開く頃に咲いたとしたら、注目も浴びないだろうに。
その先には、白系の梅が咲き始めていた。花は白系だけれど、蕾の感じはどちらかといえば紅っぽく見える。ここのは咲き始のものと蕾がたくさんあって良い感じだ。あまりワッと咲いているとウルサイという感じだけで、情緒がなく好きになれない。こんな感じが楚々としていていい。
梅もいろいろ種類があってよく分からないけれど、中国から渡って来た他に、日本ではたくさんの品種の改良が行われ、今では300種以上あるらしい。園芸学的に分類すると、花梅と実梅があり、花梅では野梅系、緋梅系、豊後系の3系9性分類(三けい九しょうぶんるい)という分け方があるようだ。
野梅系(やばいけい):は野梅から変化した原種に近い梅で、中国から渡来した梅の子孫らしい。枝は細く、花も葉も比較的小ぶりだが、香りはいいようだ。
緋梅系(ひばいけい):野梅系から変化したもので、枝や幹の内部が紅く、花は紅色、緋色のものがほとんど。 花が白くても、枝の髄が紅いものは、この緋梅系に入るそうだ。葉は小さく、性質は野梅性に近く庭木や盆栽に使われるのが多いらしい。
豊後系(ぶんごけい):梅と杏(アンズ)との雑種で、葉は大きく、育ち方が良いものが多いらしい。アンズに近く花は桃色のものが多いそうだ。
道路に沿って植えられているツツジかサツキか分からないけれど、所々で、もう花をつけている。これが早いのか遅いのかも分からないけれど、感じとしては早いように思う。4、5、6月くらいに咲いていた記憶がある。今年は何もかも早いのだろうか。
そんな中、ハボタンが咲いていた?というべきか、植えられていた。キャベツのようだが彩が多種あるようで今の季節、やっぱり目をひく。このハボタンは、あの青汁でおなじみのケールの仲間だそうだ。このハボタン春になるとトウがたって花が咲くらしい。どんな花なのだろう。このままでも十分楽しめるのに・・・
暖かくなってきたのと、今日の陽気のせいか、ちびっ子連れの若いお母さんや孫を連れたじいちゃんばあちゃんの姿が多かった。桜の中でも早く咲く、エドヒガンが早くも芽を膨らませ、遠目でも紅くなってきているので、幾日か暖かい日が続くと咲いてしまいそうに見えた。
この日、グランドでは陸上部の学生がにぎやかに練習中だった。いつも私が走る頃は、こんなに大勢の人が練習していなく数人くらいなので、トラックの内側の草むらには、カワラヒワの群れが地面を突っつきながら キリリコロロ、コロコロ、コロコロ とさえずっている。この音感が、何とも心地良い。でも、今日は木の上からこのさえずりが聞こえていた。
春がき〜た は〜るがきた どこにき〜た
ロウバイの木がある。少し前に走っていたときに黄色い花を咲かせて居たのを見かけた。ロウバイの時季だ、まあ、けっこう長い間さいているはずだから、こんどじっくり見るかな、と考えていて、それっきりになっていた。
やっと見に来たが、もう盛りは過ぎて姉妹枯れかかっている花も多かった。花の数も少なくなって居たし、あの透明感のある蝋細工のような黄色い色も枯れ居るに近くなっていた。それでも、まだまだ見られた。