コナラ
クヌギ
どこにでもある不思議。自然観察で重要なことは、ありのままの事実を良くみることだと思う。見た事実に基づいて判断して、考える。しかし、人間はいろいろな知識を持っていて、そうしたものが先入観という形で入り込んで、本当のことを見失ってしまう事が多い。
子どもにかえって、見るもの聞くもの、何故なんだろう。とか、五感で感じたままを素直に受け止めたりすると、面白い事がたくさん見えてくるんだろう。
ハイイロチョッキリが、ドングリに卵を産み付けて、そのドングリを小枝ごと切り落とすのは、どうしてなんだろう、という疑問は未だに分からない。
ドングリを切り落とすのは、地中で大きくなるために地上へ・・・だったら、ドングリだけでいいではないか?
でも、自分が地面を見て歩いて見たドングリは、必ず小枝が付いていた。これは何でだろう?
今の公園内で目立つのは、もう咲き遅れのサルスベリが鮮やかなピンクと白色で咲いている。
秋は、いろいろな実も生る時期でもある。カリンの青い実は大きくなった。アケビもようやく青い実を膨らし始めた。皮が紫色になり実が裂けて、甘〜い実が食べられるまでには、まだまだ時間が必要だ。
こうして、自然の営みは静かに人知れず行われているのだ。
暑い暑いといっても、自然は確実に移ろっていて、公園の樹木、草花にはそれが分かっているようだ。今夏は、セミの発生が多いと言われていたが、本当はどうだったのだろう。この公園で見る限りでは、セミの抜け殻が沢山見られるが、例年と比べて特に多いとは思えない。
セミの鳴き方も、今年は梅雨明けの8月初めまでは、ほとんど聞こえなかったが、それ以降は例年と同じくらいにうるさく鳴いている。
ハイイロチョッキリの落し物 そろそろ秋の気配
そんな暑い日々だが、ランニングの後、公園の林の中を歩いてみたら、クヌギ、コナラの木の下に葉っぱ枝付きのドングリが点々と落ちていた。そうか、そろそろハイイロチョッキリの落し物の季節なのだ。今年は、暑い暑いと言っていて、あまり公園内を歩かなかったので、ちょっと忘れていた。・・・それなら、ハイイロチョッキリの仕事ぶりを見てみようと、いったん帰って、双眼鏡とカメラを抱えてやってきた。
木の下を歩き回り、双眼鏡で見つけようとするがよく見えない。時々落ちてくる、切り落とされるドングリがあるので、その度に見上げるが、どこから落ちてくるのか分からない。切り落とされた小枝があるのだから、あちこちで活動しているはずなのだが、なかなか見つからない。
それなら、切り落とした跡を見つければ、その近くにいるのではないかと、クヌギの木のドングリが付いている比較的低いところの枝を双眼鏡で見た。
なるべく新しい切り口がある枝を探していくと、切り落としたばかりのような感じの白く見える切り口が見つかった。
すると、その向こうの枝に、何やら動く物が見えた。どうやら仕事を終えたばかりのハイイロチョッキリのような感じだ。
じっくりと見てみると、やっぱり一仕事終えたハイイロチョッキリだ。
その動きを追っていくと、やがて次の仕事にかかるようだ。
ドングリの実が付いている枝に移動して、ドングリのモジャモジャした殻斗へ口吻で穴をあけている様子だ。
残念ながら、切り落とす作業や卵を産み付けるシーンは見れなかったが、その前後の仕事をやっと見れた。
ハイイロチョッキリには悪かったが、数個のドングリを拾ってきた。それを切り開いて見ると、ちゃんと中に卵が産み付けてあった。
ハイイロチョッキリは、ドングリが、まだ青くて小さいやわらかいうちに頭の先にある口吻(こうふん)で穴をあけ、おしりの産卵管をさしこんで、ドングリひとつに一個の卵を産むそうだ。
卵から孵った幼虫は、ドングリの中身を食べて成長して秋になって、地面に落ちたどんぐりから出て、土の中にもぐってさなぎになって、冬を越し、そして翌年の夏になると成虫になって、地面から出て来る。
このハイイロチョッキリの子育ては、ドングリのゆりかごで、孵ったときから自立させる子育てなのだ。
葉陰なので写真のピントがなかなか合わなくてピンボケ状態だけど、双眼鏡ではちゃんと見れた。
【枝を切り落として一仕事終えたハイイロチョッキリ】
【そして、次のドングリに穴を開け、卵を産み付ける準備にかかる。もう一仕事だ。】