【雨にぬれるグリーンベリーならぬブルーベリー】

【梅雨の晴れ間にみえた虹、架け橋にはならなかった。】

【典型的な梅雨前線が停滞している天気図】

梅雨の時期、子どものころの田舎の風景を思い出す。

ちょうど田植えの時季だ。今のようではなく、田植えは何人もの人が並んで手で早苗を植えていく。田植え前、田掻きをした後の田んぼの畦をきれいに土手を作り、水漏れしないようにする。そんな時、泥の中からオケラがでてきたりする。

オケラは、なかなか愛嬌があって好きだ。つかまえて胴体をもって「お前のXXXXXど〜の位?」と聞くと、オケラは前足を人間が手を広げるようなバンザイのかっこうで「こ〜の位」と広げる。こんな他愛も無いことをして遊んだものだ。

時候、植生などをからめた呼び名

     菜種梅雨【なたねづゆ】=春雨(はるさめ)=春の長雨=春霖(しゅんりん)
                     ⇒「3月から4月の、菜の花が咲くころに降る雨。」

     走り梅雨【はしりつゆ】=梅雨の走り=前梅雨=迎え梅雨。⇒「5月中旬から下旬の梅雨を思わせるような雨。」

     卯の花腐し【うのはなくだし】⇒「旧暦4月から5月の卯の花が咲くころ降る雨。卯の花を腐らせそうな雨から
                         こう呼ばれる。これは今の5月から6月にあたり、梅雨のことで、このころの
                         曇りは、卯の花曇(うのはなぐもり)」


     五月雨【さみだれ】⇒ 「旧暦5月(今の6月)に降る雨。さつきの水だれの意味。このころの雲は、五月雲(さ
                    つきぐも)。この雲によって暗くなるのは、五月闇み(さつきやみ)。」

     梅雨【ばいう】⇒「梅の実が熟すころに降る雨。
                黴(かび)をはやす雨の「黴雨(ばいう)」という説もある。」 【語源由来辞典 による梅雨の解説】
 
     梅雨【つゆ】⇒「江戸時代前期にまとめられた『日本歳時記(にほんさいじき)』に『これをツユと名づく』とある。
              江戸時代から『ばいう』が『つゆ』と呼ばれるようになったツユの語源はお汁(つゆ)や露(つゆ)。
              湿気でくさる意味の『ついゆ』などがある。」   【語源由来辞典 による梅雨の解説】

     栗花落【ついり】=墜栗花(ついり)=梅入り。⇒「梅雨に入ること。このころ栗の花が咲き散る。」

     青梅雨【あおつゆ】⇒「青葉に降りそそぐ梅雨。」

 ひとくちに雨といっても、実にたくさんの呼び名がある。同じ時の雨でも、降る様子でちがう名前で呼ばれたり、この季節に咲く花や
 若葉に因んだ言い方。あるいは、状況と共に変えて呼ぶことがある。

 一時の雨が、その人にとって憂鬱な時季だと感じたり、子どもたちにとっては、ピッチピッチチャップチャップランランランと楽しい雨で
 あって、長靴をはいて水溜りに入ったり、傘を持っているのにわざと濡れてみたりする。

 また、田んぼを作っている農家の人にとっては、外での農作業はつらいけれど、野菜や田植えをしたばかりの早苗には恵みの雨で
 あり、秋の実りを約束してくれる雨でもある。
 
 野辺に咲く草花や山野に生える木々は、この時期にたっぷりと水分を吸い上げ、瑞々しく潤いをもたらす。樹林帯では地中に水分を
 蓄え、やってくる真夏の暑さに備えるだろう。人間は、この自然が地中に蓄えてくれた美味しい水をいただくことになるのだ。

梅雨 つゆ

梅雨(ばいう、つゆ)は、東アジアだけにみられる雨季で、6月上旬から7月中旬にかけて日本の南岸から中国の長江流域にかけて前線(梅雨前線)が停滞して長雨を降らせる季節現象だ。

季節が春から夏に移行する過程で、大陸の冷たい高気圧を太平洋の暖かい高気圧が押し上げようと戦いが始まる。
性質の違う二つの空気が日本付近でぶつかり合って、大気の状態が不安定になり、梅雨前線が発生する。どちらの気団の中心も海上にあり、水蒸気を多く含んでいるため、活動が活発になると大量の雨を降らせる。梅雨前線は停滞前線ともいわれ、日本の上空に約1ヶ月間も居座って、この間、主に前線の北側で雨が降るのだ。

中緯度に位置する東アジア全体に生じる雨季として特異な現象なので、地球上の位置が大いに関係しているようだ。
北海道や小笠原諸島は梅雨が無いといわれるのは、梅雨前線が本州付近に停滞して活動するために北海道は影響が無く、梅雨の終わり頃に前線が押し上げられてきても勢力が衰えていることと、北上する速度が速いため梅雨のような長雨にならないので梅雨が無いといわれる。
また、小笠原諸島は、早くから太平洋高気圧の支配下に入り、真夏の空気に覆われてしまい梅雨前線は近づくことができなく梅雨がないのだ。

逆に梅雨明け後から8月上旬くらいまでは「梅雨明け十日」といって天候が安定する良い時期なのだが、この「梅雨明け十日」も最近の環境の変化で、期待できなくなっているように感じる。 よく山へ行っていた頃は、この時期を狙って行ったものだった。

 雨の状態から呼ばれる名

  
    驟雨【しゅうう】=にわか雨 ⇒「急に降り出す雨。」
      地雨【じあめ】⇒「しとしと降り続く雨。」
      霧雨【きりあめ・きりさめ】⇒「無数の細かな雨粒が、ゆっくりと落ちてくる。」
      小糠雨【こぬかあめ】=糠雨(ぬかあめ)=ひそか雨 ⇒「春先にしとしと降る雨。」

    梅雨の中休み【つゆのなかやすみ】⇒「梅雨の最中に、一時的に晴天の日が訪れること。」
    空梅雨【からつゆ】⇒「梅雨の時期なのに、ほとんど雨が降らないこと。」
    送り梅雨【おくりつゆ】⇒「梅雨が明けるころの雨。」
    戻り梅雨【もどりつゆ】=返り梅雨⇒「梅雨が明けたあとに、再び梅雨のような状態に戻ること。」

梅雨前線の活動が太平洋高気圧の勢力拡大によって弱まるか、日本海側に押し上げられ、前線の影響による雨が降らない状況になると、梅雨が終わる。梅雨明けだ。

毎年のことだが、梅雨明け直前は前線が大暴れして豪雨になることが多く、大きな被害が発生している。今年は、大被害をだした沖縄では、あと数日で梅雨明けのようだが。

【語源由来辞典 による梅雨の由来解説から】
  
梅雨は、中国から「梅雨(ばいう)」として伝わり、江戸時代頃より「つゆ」と呼ばれるようになった。
「日本歳時記」には、「此の月淫雨ふるこれを梅雨(つゆ)と名づく」とある。
中国では、黴(かび)の生えやすい時期の雨という意味で、元々「黴雨(ばいう)」と呼ばれていたが、カビでは語感が悪いため、同じ「ばい」で季節に合った「梅」の字を使い「梅雨」になったとする説。
  
「梅の熟す時期の雨」という意味で、元々「梅雨」と呼ばれていたとする説がある。
日本で「つゆ」と呼ばれるようになった由来は、「露(つゆ)」からと考えられるが、梅の実が熟し潰れる時期であることから、「潰ゆ(つゆ)」と関連付ける説もあり、梅雨の語源は未詳部分が多い。

色々な説があるようだ。

この時期、やっぱり天気が悪いことが多く、出かけることが少なく、フィールドでのネタが無いので、梅雨の時期に因んで、今頃の時期に降る雨の呼び方や、それにまつわる時候の呼び方を調べてみた。

季節の植生をからめた呼び名

  
   緑雨【りょくう】⇒「新緑のころに降る雨。」
     翠雨【すいう】⇒「青葉に降りかかるように降る雨。」
     甘雨【かんう】⇒「草や木をうるおすような雨。」
     麦雨【ばくう】⇒「麦の熟するころに降る雨。」
     瑞雨【ずいう】⇒「穀物の成長を助けるように降る雨。」
また、この頃からホタルが舞い始める。

  ♪ほ〜 ほ〜 ほ〜たる こい こっちの みーずは あ〜まいぞー 
    ♪あっちの みーずは にーがいぞ ほ〜 ほ〜 ほ〜たる こい ♪

こんな歌をうたいながらホタルを追いかけた。あの頃は、箒草で作ったほうきを片手に、反対の手には長ネギを持った姿がホタルを捕りに行く恰好だった。

虫かごもあったけれど、捕まえたホタルは長ネギの中へ入れる。その中で光ると、とてもすてきな耀きなのだ。緑色の中で光る黄色い光。蛍光塗料のようだった。何匹も入ると本当に明るくなる。昔は外灯なんか無かった時代だから、その耀きはさらに引き立ったのかもしれない。

今のようでなく、あの頃はものすごくたくさんのホタルがいたから、すぐに捕れた。

あのフワ〜 フワ〜と小さく明滅しながら頼りなげに舞う姿は、お盆が近かったせいかご先祖様の魂でも浮遊しているような錯覚さえする。

捕ってきたホタルを蚊帳の中に放し、その中で眠った。何の夢を見ていたのだろう。
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2006 Jun..22 tama
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