桜 さくら あっちも こっちも…さくら さくら
咲いたさいた、桜が咲いた。あっちもこっちも桜が咲いて桜でい〜っぱい。世の中がパ〜アッと明るくなったような感じがする。
昨年暮れからの大寒波で、今年の桜は早い開花なのか遅いのか、ということが散々言われ、気象庁の開花予想と民間気象会社のそれが大きく食い違った予想だった。結局気象庁の開花予報に軍配があがり、3月22日東京で開花宣言が出され、そして3月28日には満開宣言だ。とはいえ、これは東京のど真ん中で気象庁が決めた標本木を対象にしているものだから東京でも地域によっていろいろ差が出てくるのは当たり前。
前にも書いてくり返しになるが、桜の開花が早いか遅いかは、冬の寒さと春先の暖かさに左右されるそうだ。桜の開花までのプロセスとしては、翌春咲く花の元になる花芽(かが)を夏につくり、秋になると休眠に入る。その花芽は、冬の低温に一定期間さらされると休眠から目覚める休眠打破が起こる。そのあと花芽は、気温が高くなるにつれて生長し開花するのだが、冬が寒く春先が暖かいほど、花芽の成長が早くなって開花も早くなるという。そんなプロセスを経て桜の花が見ごろを迎えた。
さくらは、日本を象徴する花のひとつなので、日本中にさくらの名所といわれるところがたくさんある。私の住んでいる辺りでも毎日通うバス通りが、この辺りの名所だ。道路の両脇に街路樹として植えられていて、春は花のトンネル、その後は暑い夏の陽射しを遮ってくれる緑のトンネル、秋は紅葉のトンネルと四季を通して楽しませてくれる。
市ヶ谷の駅から中央・総武線が走る線路脇の外堀の土手を歩けば、お堀沿いにはさくらが花をさかせ桜色に、土手は緑色が濃くなり始め、その中に真黄色の菜の花が咲き、紫色が鮮やかな花だいこんも咲いて春真っ盛りだ。この辺りは都会のビル群と自然がうまく溶け合っている風景だ。こんな風景が見れるのも都心のど真ん中に皇居という大自然の森があるからなのだろう。
【一口坂 交差点】
【九段坂】
【市ヶ谷から一口坂へ】
北の丸公園は、江戸城の北の丸だった所で、昭和30年代に森林公園として整備され、春の訪れとともに中央林地で梅の花が咲き始め、続いてコブシやレンギョウなどで彩られる。その後、このさくらの季節になり、この公園から見る千鳥ヶ淵のさくらが素晴らしい。ここのさくらはソメイヨシノがほとんどで約76本あるそうだ。
この北の丸は、御三卿の田安家(千鳥ヶ淵側)と清水家(清水堀側)の屋敷があったところだ。
北の丸公園の西側にある内濠のひとつ、千鳥が羽を広げたような千鳥ヶ淵は、その水面に花開いたさくらを映し出す。お堀端のさくらは頭上を覆うほどの桜並木となり、樹齢何十年というどっしりとした黒い幹から千手観音のように花枝は折り重なるように伸び、道を越え、お堀の方に向かっている。まさに花の天蓋とでも呼ぶにふさわしい。対岸の北の丸公園の土手にもさくらが咲き、辺り一帯は土手の若草色と桜色が織り成す春の饗宴でまばゆいばかりだ。
千鳥が淵までのお堀端を行って帰ってきて、目の保養ができたところで、北の丸へ入っていく。桜並木の田安門を入り鉤の手に曲がってさらにもうひとつ大きな門をくぐり抜ければ、時代がガラッと変わって現代へ。
北の丸公園内には、八角形で屋根は富士山をイメージしたという武道館があり、姿こそ聖徳太子の遺徳を偲んで建てられたといわれる夢殿のようで、奈良の時代へタイムスリップしそうな感じだが、そこで行われるイベントに来る若者の姿で、そんな夢のようなものは吹き飛んだ。周囲には花見よりアイドルを追いかける若いお姉さま方がい〜っぱい。なんとなれば、TOKIOのコンサート期間中。ちょっとガッカリ!!
【富士山の流動美をイメージした日本武道館の大屋根の頂点には直径5mにもなる擬宝珠(ぎぼし)がある。武道館の直径が60mもあるのだから不思議なほどの大きさではないが・・・。】
擬宝珠(ぎぼし)九段坂方向の大きな鳥居をくぐると屋台の出店がず〜っと軒をならべている。昔ながらのアンズ飴や焼きそばなど、さくらの下にブルーシートを敷いてお休み処などなかなかいい雰囲気だ。大道芸の猿まわしも出ていた。この出店の中に携帯電話販売が出ていた、これも時代というものなのか?今騒がれている政治的なことなど忘れてしまう光景だ。菊の紋が入った大きな門戸の向こうには満開の桜並木が続く。さくらの開花予想の標本木は、たしかこの中のどこかにあるはずだが・・・
神社から出て、さくらに誘われるままに九段界隈をぶらぶら歩いた。
いつもの公園
もう、さくらの満開の時期は過ぎたが、今日は、午後に少し時間ができたので、いつもの公園へ行ってみた。
天気は良く暖かな午後で気持ちがいい。でも風は少し冷たく木陰に入るとちょっとひんやりした。それに午後も3時を過ぎるとやっぱり寒い感じだ。
公園は、平日の午後ということもあって静かだ。さくらはかなり花びらを散らし始めていて、地面のあちこちに吹き溜まった桜色があり、頭上からはハラハラとさくらの花びらが舞ってくる。
しばらくヒレンジャクが来て、にぎわっていたヤドリギの下へ行って見たら、今日は5、6人がカメラを構えてファインダーを覗き込んでいた。双眼鏡で見たけれどヒレンジャクの姿は見つからず、見ている人に聞いてみると1羽だけきているという。しばらく見つけてみたが、私には探せなかったので野鳥の鳴き声がする雑木林へ行ってみた。
雑木林の中にはさくらの木が何本かあり、もう見ごろ
は過ぎたが、まだまだ沢山の花を咲かせていて見られる。
真っ青な空を背景に桜色はいい色合いだ。しばらく眺めているとメジロが10羽
くらいパラパラと飛んで来てさくらの蜜を吸い始めた。器用に身体をくねらせたり
しながら、なかなか面白い風景だ。メジロを良く見ているとあの目の周りの白い縁取りはどうしてあんなにうまく描かれているのだろうかと驚いてしまう。自然の驚異?神の仕業?かと感心してしまう。
雑木林をぐるっと一回りして、さっきのヤドリギの裏側のメタセコイヤの林を歩いていると、高いところに鳥が1羽止まっていた。双眼鏡で見てみるとそれはヒレンジャクだ。ひょっとして今日来ているという1羽のヒレンジャクがこれかなと思い、しばらく見ているとカメラを担いだおじさんが一人やってきて、「こんなとこに居たんだ」と、「もうみんな飛んで行っちゃったんだよね」と話しかけてきた。
ここ一ヶ月くらいの間に、何回か来て私が見た一番多いときには二十数羽居たけれど、もうみんな北へ渡って行ってしまったのだろうか。この1羽だけ残ったのは、どうしたんだろう?はぐれて置いていかれたのだろうか?1羽だけで中国北部やシベリアまで飛んで行けるのだろうか?ちょっと心配だ。ひょっとしたら鳥の中にも少し変わったヤツがいて単独行が好きなのかもしれない?この鳥もあとどのくらい私たちに姿を見せてくれるのだろうか。無事に渡っていってほしいものだ。
昨日は、久しぶりに走った。いつものコースは、今さくらのトンネルだ。木によって花のつき具合は違うが、既にピークは過ぎているので、花びらがハラハラと舞って来る。少し強い風が吹くとそれがパラパラといった感じで舞ってきて何だか嬉しくなる。週末ということでお花見の場所とりにブルーシートを広げているその上には桜色がひろがり、青空をバックにしたさくらのようだ。
さくらが咲き始めてから3週間になろうとしている。今年の東京のサクラはずいぶんと長持ちした。数日前の強風にも負けず、その後の雨では、これで終わりかと思っていたら意外や意外、まだまだしっかりと花を付けている。
この春は、千鳥が淵のさくら、地元のさくら、さらにいつも行く公園のさくらと沢山のさくらを楽しめた。春と共に世の中がパァ〜ッと明るくなったようだ。家のベランダから眺める近所の景色が明るくなっている。こうした景色を花やかというのだろう。 サクラが終わると新緑の季節だ。
空には、いつの間にか来ていたツバメがたくさん飛び交っていた。ヒバリも鳴き始めた。
今年のさくらもそろそろ散り始めた・・・・