富士山の裏側へ落ちていく太陽、もう少し前だともっと左側へ落ちていた。これからはどんどん右へ寄っていく。
西へ向かう飛行機がジェットストリームを引きながら太陽を追いかけていく。どこまで行ったら追いつけるのだろう・・・
この冬は、何回か雪が降った。なにかのベールに覆われたような雪降りの日ベランダへ出て眺めている。
上を見ると音も無くハラハラと白いものと言うべきなのだろうが、実際見ていると白くない。灰色?黒い点のようにも見える雪、地上へ落ちてみれば真っ白なのだが・・・
こういう雪降りの日は、みょうに静かだ。世の中のあらゆる音を吸い取ってしまうのだろうか?この白い雪は・・手すりに積もった雪は、その命を少しづつ終わらせようとしている。何にでもいえることだろうが、目的を果たせば・・・
冬の空もよう 空、雲、月、太陽
高層の雲が、空に吹く風によって形づくられていく空もよう。
いかにも、氷をたくさん含んでいるような模様をしている。
北の国へ大雪を落として大役を務めた雪雲が、まだまだ元気だとばかりに関東まで飛んできた.。
低く垂れ込み、ここにも雪を落とすぞ! とでも言わんばかりの形相だ。
一条の雲から地上に向かって噴射するように吹き降ろす暖簾状の高層の雲。どんなふうに風が吹けばあんな雲になるのだろうか!
雲が怒っている!フツフツと雲の中
から怒りが湧いてくるようだ。
ある夕暮れどき。
富士山のシルエットを隠し光り輝く太陽。
山頂から流れ出したマグマが山を覆いつくしているような錯覚に陥る。
やがて、山の後ろへ落ち始めた太陽は円錐形のシルエットを浮き立たせる。
空の雲をも黄金色に染めてしまう太陽の輝き。空にマグマを撒き散らしたような雲模様。
ついに、地平線の下へ入ってしまった名残の輝きは、それでも空を、雲を焼き続ける。
穏やかな夕暮れがやってきた。
少し前までは、富士山の真後ろ辺りに沈んでいった太陽もずいぶん右側へ寄ってきた。北へ回帰してきたのだ。
3月半ばの春分の日には赤道を通過して夏至に向かって、さらに北上?
春へ向かって着実に季節は移ろっていく。
シルエットの富士山をバックライトの太陽が浮かび上がらせ1日が暮れていく。
ここにも珍しい、放射状にのびる雲が見えた。なんらかの具合で飛行機雲がこのような放射状に見せているのだろうか?
上空では、地上では考えられないような風が吹いて自然の絵筆をふるっている。
そのアートは時々刻々と変わっていく。見事な雲模様を描いたかと思っていると墨絵のように風が流して、はっきりした輪郭からぼんやり柔らかな綿状の雲へ絵筆を走らせる。
人間のどんなに優秀な画家にも真似ができない手法で描いていく自然の造形美に一頻り目を奪われている。