「吾木香 すすきかるかや 秋草の
さびしききはみ 君におくらむ」
若山 牧水
「吾も亦(また) 紅(くれない)なりと ひそやかに」 高浜虚子
秋の花といえばコスモス。
野原、川の土手、庭先にもいろいろな
かたちで咲いている。
夏の終わり頃からか、もう少し
早くからか咲いている黄色いコスモス
があった。
キバナコスモス。
コスモスは、ギリシャ語の 秩序、飾り、
美しい という意味の
Kosmos, Cosmos
から来ているそうだ。
星がきれいな宇宙の ことを、cosmos
ともよぶが、これはコスモスの
ようにきれいな花がたくさん
空にあるようだから・・・かな。
小さな、色とりどりの花が
咲いていた。
この暑かった夏の炎天下にも
負けずに。
なぜ?こんなに強いかといえば、
肉厚の細長い葉っぱや茎を持ち、
水分を蓄えているらしい。
日照りにも負けずに
咲き誇っているんで
ヒデリソウ(日照り草)
なんてもいわれる。
本当に雨にも負けず風にも
負けず・・・
なんて 人間もがんばらねば・・
暑くなり始めのころから咲き始め、
いまだに元気よく咲いている。
これも、そろそろ見られなくなる季節に
なりつつある。
早朝、人が目を覚ます前から咲き出し、
花の命は短くて・・・・
夕方にはしぼんで しまう「一日花」だ。
「槿花一朝(きんか いっちょう)の夢」
(人の世ははかない、ということらし)
が、 次々に別の花が咲くため長く咲いている
ように見える。
だからこそ、ひとつの花が一生懸命に
きれいに咲いているのだろう
初夏のころから、ピンクや白色のにぎやかな花を
たくさん咲かせてきたが、そろそろ最後の
花となろうとしている。
百日紅 ヒャクジツコウ
この花も、もう枯れかかっているが
遠目に見れば、まだまだかなり鮮やかだ。
サルスベリ。
この木は本当にすべすべした木肌を持ち、
手でさすっても すうーっとすべる。
これではさすがのサルも滑ってしまう
のではないだろうか。
まだ、いずれも青く粉をふいたようなアケビとカキが実をつけていた。
カキも、もう少しで色づいておいしくなるだろうな。
アケビは熟れて食べごろになると、外の肉厚の皮がきれいな紫色にかわってきてその肉厚の皮がぱっくり口をあける。中には甘く白い果肉がいっぱいだ。
ただ、種もいっぱいなので、食べるときは、すいかのようりょうで種だけぺっぺっとはきだすといい。
この皮をぱっくりあけて中の種を外へ出すことも子孫繁栄のためにちゃんとやっているんだ。
夏のはじめころ、やはりうす紫色の花を咲かせていたが、ようやく実りの秋。
実になって秋を感じる。
実の生りかたや花の咲き方は、根元に近い方から順次花ひらき、
先端に向かって咲いていく。
それを追うように実をつけていく。
それにしたがい色も緑色から紫色に色づいていく。
コムラサキとそっくりだが、 やや大型。紫色の実の清楚な美しさを、理知的な平安美女の紫式部になぞらえたものだと言われている。
他にも、紫色の実をびっしりつけることから紫重実(むらさきしきみ)と呼ばれ、これが訛ってムラサキシキブとなっていったという説もある。
春先に赤、白の花と見紛う大きな総苞片の
中に小さな花をさかせたハナミズキも、
長かった夏を経てようやく赤い実をつけた。
いまの季節、
色とりどりの花から紅葉、黄葉への移りゆく間で緑の単調な色の中で
この実の赤い色が目につく。
この実もやがて鳥たちの餌食になっていくのだろう。
はしりの秋
今日はさわやかな秋の日。日本晴れだった。
最近こんな言い方をする人も居なくなってきた。と言うのもあるが、こういう言い方が出来る天気の日が少なくなってきているとも言えるのではないだろうか?