卵から孵った幼虫は中身を食べて、秋か来春に穴を開けてドングリから這い出し土中で蛹になるそうだ。
ということは、卵を産みつけたドングリを切り落とすことは幼虫が土中で過ごすための手助け、子育てをしているということなんだ。

ハイイロチョッキリの忘れ物?落し物

公園の林の中を歩いていたらコナラやクヌギの青いドングリをつけた枝がたくさん落ちていた。点々と・・・・木の下に居るとぱさっぱさっという感じで落ちてくる。なんだろうと考えていたら、思い出してきた。名前は解からなかったけれど、ドングリの実の中に卵を産み付けて、その子は実を食べながら育つという話を・・・・・

そう、これはハイイロチョッキリという小さな甲虫(約1cmくらい)がコナラの木から落としたものだ。
ハイイロチョッキリは、卵を産み付けたドングリのついた枝を切り落とし、幼虫はドングリの中実を食べて育つのだ。どうして枝ごと切り落とすかは分からないけれど幼虫のためを思ってのなにかがあると思うのだが、果たして何なんだろう?

こうして移り行く夏の季節の終わりに、林の中を歩き目に映るたくさんの生き物たちの姿を想像すれば小さな生き物たちが懸命に生きている世界がたくさんあることに気がつく。
こんな営みををみていると我々人間が忘れてしまった、生きることの原点があるようにおもえてくる。

子孫を残す話しのときによくカマキリのことがでてくるが・・・。
オスは交尾の後メスにバリバリと食べられて子孫つまり卵の栄養になってしまう、といわれているけれど、全てがそうではない。
本当は体力がなくなって動きが鈍くなってきたオスは餌とみなされてしまうらしい。
だから、交尾する前に食いつかれるものや交尾中に食べられるものもいるそうだ。その場合に通常頭から食べられるらしい。
それはオスの交尾行動の中枢が胸部以下の神経節にあり、頭を食べられてもオスの交尾衝動は高まりちゃんと交尾をさせるようにするのだそうだ。
食われるにしろ逃げるにしろ、交尾だけがオスの仕事だなんて・・ですね。トホホ・・・

まあ、交尾する度にオスが食べられるようだと、オスがすぐいなくなってしまいそうだが、オスの中にも元気ものがいて、交尾後うまく逃げ延びて次のメスと交尾するというしたたかな元気者もいるようだから心配はなさそうだ・・・・・

こうしてセミが一生懸命鳴いている一方で短い地上での生を終えていくものもいる。

林の中を歩きながら地面を見ると命尽きた昆虫たちが落ちている。アリの餌食になってその姿をとどめていないものもいる。

うるさく鳴いているアブラゼミ、ツクツクボウシだがいずれも鳴いているのはオスだということはご存知だろう。少し羽を広げぎみなかっこうで鳴いていた。

セミのオスは、腹部に音をだす膜と発音筋がありこれを震動させて音をだす。そして空洞になっている腹部を共鳴させ音を増幅している。

鳴き方の調子は、発音膜の外側にある弁を調節したり腹部を伸ばしたり縮めたりすることで調節している。

土中から這い出して、木に登りそこで羽化する。その抜け殻があちこちの木で見られた。

1本の木に数えきれないほどの抜け殻があり種類も数種類あった。なぜ、1本の木に集中しているのかは私には分からない。

暑かった今夏も8月後半に入り、少し天候の変わり目にきたような気がする。
毎夜毎夜クーラーをかけなければ寝苦しかった夜もここにきていらなくなってきた。子どもの頃田舎ではお盆を過ぎるとすぐに秋の気配がやってきたような記憶がある。聞くところによると、この暑かった夏だったが田舎では、やはり秋風がたち始めてきたようだ。

近くの公園の林を歩いてみると、移り行く夏の様子がうかがえる。
林の中は、蝉時雨。アブラゼミとツクツクボウシの大合唱だ。その合い間をぬうようにミンミンゼミの独唱が聞こえる。

セミは数年間(といっても実際何年かわかっていないそうです)もの間土中に居て、地上での寿命が1週間(やはりこれもどのくらいの期間地上で生きているか不明だそうです)の命といわれているが、林の中ではこれらのセミの一生のうちの一コマが目で見える。

移り行く夏

Nature information & Observation 2004 Aug.
だからちょっと無様な格好をして鳴いているのだ。ちなみにセミが鳴くのはオスがメスを呼び寄せるためのものだ。(配偶行動)鳴き方にもいろいろあるようだ、皆で一緒に鳴こうよとかメスが近寄ってきたから交尾しようよ・・などなど。
メスには発音機構はなく腹部には卵がつまっているそうだ。
ここでちょっと不思議に思うことがあった。オスは鳴いていても人が近づくとすぐに逃げてしまうけれどメスは人が近づいて捕まえようとしても逃げない。これはどうしてだろう?耳はあると聞いているけれど、はて??
この答えは、鳴かないかわりに無心に樹液を吸っているので、いくら近づいても逃げないようだ。もうひとつ、飛び立つときにおしっこを飛ばしながら行くのはどうしてなんだろう?
これは、子どものころからセミを捕りに行くたびにおしっこをひっかけられているがわからない。

こんな風にして、セミや生き物たちの短い命は終わっていく。夏が移ろいをみせ次の季節がやってくる。

生き物たちは、自分の子孫を残せたのだろうか?生き物たちは、基本的に子孫を残すために生まれてきて、一生をそのために懸命に生きて終わっていく。

HOME
1本の木に数えきれないほどの抜け殻が付いていた。【2040821】

ツクツクボウシ ♂

セミのぬけがら【2040821】

アブラゼミ ♂

アブラゼミ ♀

ミンミンゼミ ♀

木に止ってじっとしているアブラゼミ(左)とミンミンゼミのメス(右) 【2040821】

アブラゼミの死骸。胴体のほとんどは何者かに食べられてしまった。【2040821】

ゴマダラチョウ?【2040821】 標本のようにきれいな形で落ちていた。

コナラの木の下に点々と落ちているドングリ付きの小枝。【2040821】

ドングリの一番柔らかい部分を探し当てて穴を開け、卵を産み付けた跡。《お皿(殻斗)の部分》 【2040821】

ドングリを割ってみると、黒い穴の中にひとつ卵が産み付けてあった。 【2040821】

まだまだ元気なカマキリ
   【2040822】

back to Nature Info

Nature of the four seasons/四季の自然

2004 Aug. 25 tama
inserted by FC2 system