2003年未年なのにカモシカ登場! まだ遠い春を待つ
気象庁の長期予報によれば、今冬は暖かいと言われていたが暮れから新年まで寒い日が多かった。

この年末年始は故郷信州で過ごしたのでその時に見たことをお届けしよう。
わが故郷は長野市東部に位置し、上信越高原国立公園の端にほど近いところだ。長野はどこでもそうだが山に囲まれたところが多い。
   
  長野県には「
信濃の国」と言う県歌があり、こう歌われている。
 
   ”信濃の国は十州に 境連ぬる国にして 聳ゆる山はいや高く流るる川は
   いや遠し 松本伊那佐久善光寺 四つの平らは肥沃の地 海こそなけれ
   物さわに 万ず足らわぬ事ぞなき”

 
  信濃の国に歌われているように、長野は4つの大きな盆地があるがそれぞれ千曲川、
  犀川、木曽川、天竜川という大きい川の流れに沿って開けた盆地で、周囲はいずれも
  山々がせまってくる。
  私の故郷もそういったきわめて山に近いところである。

 
さて、そんなところで私にとっては珍しいニホンカモシカが山の麓まで下りて来たのだ。
それも元旦の朝、お屠蘇気分でいるときにである。山の麓のりんご畑にカモシカがでてきた、と言うので慌ててカメラを持って外へ飛び出してみると、遠目にもカモシカと分かる独特のポーズで
じっとして我々の方を見ていた
   
写真を撮るにしても遠すぎるので、皆で少しづつ近づいて行ったが、ずっと我々の方をじっとして見つめてた。
100m、50m、30mと徐々に近づいてもいっこうに逃げる気配がない。何枚か写真を写して、思い切って15mくらいまで近づいたところでやっと数m動き、またじっとこちらを見つめていた。
ある一定の距離を置きながら警戒はしているようだった。
その後しばらくして見たが姿は無く、山の中へ戻っていったようだ。

カモシカは見た目でも小太りで格好がいいとはいえない。また、もうひとつ変な感じがしたのは、目の下にある”眼下腺”だった。
ゴミでも付いているのかと思ったが近づいて顔をよく見ると一対あるのでなんだろ〜と思っていた。以下にニホンカモシカについて調べてみた。

【繁殖】

発情期は10〜12月で、妊娠期間は約7か月、4〜6月頃に1仔を産む。通常、単独で行動しており、仔は出生の翌年の春まで母親と行動をともにする。2.5〜3才で性的に成熟する。
  

ここでニホンカモシカについて
  
【概要】

ニホンカモシカは、哺乳綱 偶蹄目ウシ科ヤギ亜科の動物。
北海道と中国地方を除いた本州、四国、九州に生息する日本固有種で1955年特別天然記念物に指定された。

低山帯から高山帯の森林に棲息する。通常は単独生活で、四頭以上の群れを作ることはほとんどない。草や木の葉を食べ、反芻をする。秋に交尾をし、翌年晩春に一頭の子を産む。平均寿命は四年ほどで、最長寿命は二十年を越えるものもいるそうだ。ニホンジカと違って雌雄ともに角を持ち、角は生え変わらない。
【体形態】

成獣の体形は、体長130cm前後、尾長約10cm、体高約75cm、体重30〜40kg。体色は黒褐色や灰褐色が多い。
雄雌ともに12〜15cmくらいの角がある、雄の角は比較的長く先が鋭い。雌の角は太目で、基部に輪があり、年令とともに増加する。輪の節は、毎冬に形成されるそうだ。
目の下にある眼下腺には性差と個体差があるようだが、分泌物はコミュニュケーションの役割をするそうだ。また、乳房も4乳頭であり、ウシと同じ。
【習性】

反芻性、草食の動物で、岩場や急傾斜の斜面のある森林を好んで生息している。低木の葉、芽、小枝、花、実、ササなど草木を食べる。主に早朝と夕方に採餌し、座り込んで休息しながら反芻していることが多い。人を見つけたりすると見晴らしのよい場所に何時間も立ち、じっと見ていることがある。
成獣の行動範囲は定まっており、定着性が強く、同じ場所でよく見られる。
木の幹や枝にツノトギや眼下腺からの分泌物をこすりつけるといったマーキングをする。排泄物は、一か所にフンを溜める習性があるそうだ。
【生息地】

本州では茨城、千葉、兵庫、中国地方を除く各県に、四国、九州で生息しているそうだ。
全国的な傾向としては東日本、中部地方と紀伊半島に多く、西日本に少ない。生息数は、増加傾向で、低山帯への下降現象が著しいそうだ。
まだ遠い春を待つ

今年の元旦は、いい天気に恵まれて暖かい日であった。
でも、2日は夜中から降った雪が朝までに10cmくらい積もった。
久しぶりに雪かきをしたが都会の水分たっぷりの雪と違い、やはりサラサラしたパウダースノーっていう感じで、軽いので後で筋肉痛などにならない。
   
最近は、田舎でも降雪量が減っているようだ。子どものころは一晩に50cmくらい降るのは当たり前、それでも私の実家がある所は県北部としては降雪量が少ない地域だ。もう少し北の新潟県境に なると4〜5mも積もり、陸の孤島となっていたところもある。でも、最近では車の行き来ができているようだ。
こうした降雪量の減少化傾向は加速されているようだが、今年は降雪が早い時期からあり寒い冬のようだ。

田舎の辺りを見てみると、熟しきった柿の赤さが雪の白さといいコントラストを見せている。
そしてすずめ、ひよどりたちの餌となっている。
この柿はサルたちの餌にもなるようだがこの冬は、他に餌があるのか現れないそうだ。この柿は、みかんのような形から「みかん柿」といわれている渋柿で、熟してくると甘さが増してきて今の時期、木になっているのをもぎ取って食べるとシャーベットのようで実にうまいのである。

畑や田んぼを見ると、採り残された野菜類が雪の合間に顔を出している。もう凍みているんだろう。
田舎では、冬の間野菜を保存するのに畑に穴を掘り、その中に稲藁を敷いて野菜を入れ上に稲藁をかぶせその上から土をかける。
こんもりした小山ができる。こうしておけば雪が降っても凍みずに新鮮野菜が保存できるわけだ。
田んぼは、稲刈りの後田起こしをして、今は冬眠状態といったところだ。田んぼといえば冬は真っ白な一面の雪野原、そこを歩いて道を作って遊んだものだ。春になれば広い田んぼ一面に蓮華の花が咲く。その中を蓮華を踏み倒し細い道をつくり、「道鬼ごっこ」をした。今では田んぼも少なくなってきて、広かった田んぼを駆け回る子どもたちもいなくなったのだろう・・・

信州というと、やはり今の季節最低気温は氷点下、最高気温も10℃になる日は少ない。
しかし天気のいい日、冬の太陽でもけっこう暖かさは感じられ、」ひょっとすると春かと思うような時もある。
天気のいい日中、千曲川の堤防を歩いてみた。水際にあるネコヤナギが赤い殻を取って銀色の新芽を一つ二つ出していた。
  
川の流れは穏やかで、感じとしては 水ぬるむ・・・といった様子だ。しかし、目をあげて周囲を見渡せば上流のほうには真っ白に雪で覆われた北アルプスの連峰が、下流には北信五岳の山々が白い雪をかぶって、まだ遠い春を待っている。

    
注)北信五岳:戸隠山・飯綱山・黒姫山・斑尾山・妙高山をいう。
  長野県北部県境と新潟県に聳える山々で、長野市郊外の飯綱山、戸隠山、小林一茶 の故郷信濃町の黒姫山、
  志賀高原の麓にある斑尾山。県境の妙高山。
  長野県は南北に長く地域のよび方として長野市を中心にした善光寺平を北信、松本市を中心に諏訪などを中信、
  上田市、佐久、軽井沢の佐久平を東信、飯田・伊那方面を南信とよんでいる。
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2003 Jan. tama

Nature of the four seasons/四季の自然

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遠くから最初に発見した時のポーズ
かなり近くまで行ったが同じポーズ
様子を見ながら少し移動
山へ向かって歩き始めた
また立ち止まってじっと見つめる
山へ向かって歩き始めた後姿
歩きながらこちらの様子をうかがう
熟した柿を啄ばむすずめ
雪の畑に残された白菜
春の田植えを待つたんぼ
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